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棄霊島〈下〉

棄霊島〈下〉
By 内田 康夫

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  • Amazon.co.jp ランキング: #319006 / 本
  • 発売日: 2006-04
  • 版型: 単行本
  • 355 ページ

エディターレビュー

内容(「BOOK」データベースより)
複雑に絡まる謎、重なる事件。近代社会の負の記憶を探り、尋ね歩き、心を沿わせる浅見の目に映った、哀しい真相とは。真実の名のもとに罪をあばき、残る苦さ。浅見光彦、新たなる旅へ。犯罪の陰にある人間ドラマを描き出す、内田ミステリーの金字塔。

内容(「MARC」データベースより)
複雑に絡まる謎、重なる事件。近代社会の負の記憶を探り、尋ね歩き、心を沿わせる浅見の目に映った、哀しい真相とは。真実の名のもとに罪をあばき、残る苦しさ。浅見光彦、新たなる旅へ。


カスタマーレビュー

着眼はよいが3
浅見光彦100事件目の節目の作品とのことである。かつて炭坑の島として栄えていたものの、今は炭坑の閉鎖とともに廃墟となっている長崎の軍艦島を舞台にしたストーリーである。僕もかつて軍艦島の写真を何かの雑誌で見た際に、その異様な光景に圧倒された覚えがあるが、一度は日本の中でも最先端をいっていただろう街がゴーストタウン化して朽ち果ててしまっている現状は、何とも言えないはかなさを感じる。その軍艦島にスポットを当てているのは、なかなか斬新な着眼である。しかし、ストーリー自体は、今回はわりと最初の方から犯人らしき人物が分かってしまうので、どちらかというと経済成長の間の日本の闇の部分の記述や長崎を中心とした各地の旅情の記述が中心となっており、どうも上下巻にしてしまうと中だるみしてしまっている感は否めない。

正義とは?5
著者が本書上下巻で描きたかった事を代弁すると「正義とは国、宗教、時代などにより変化する」という事だと思う。今回の事件の根元は戦中戦後の激動の時期にまで遡る。特に朝鮮との関係において極めてデリケートな部分までが描かれている。戦中戦後の事ではなく、ごく最近起きたある殺人事件の動機が、戦後のどさくさの時期の出来事が端を発している。本書では、その前提の上で、文部科学大臣と首相とのやりとりまで生々しく描かれている。半分はフィクションであるが半分はフィクションではない。

著者は北朝鮮による日本人拉致問題に対する、極めて言いにくい事をズバズバと述べている。ここでも、どこまでが正義でどこまでがそうではないのかを鮮明にしようとしている。浅見光彦はフィクションである部分の、この現代の殺人事件の全貌を突き止めた。しかし彼はこれまでの様に、警察にその内容を伝えずに封印してしまう。何も言わない事や知らないふりをする事が最大の想い遣りであり、それも一つの正義の有り様だと判断するのだ。

本書の読後感は決して爽やかではない。否、爽やかであってはならない。現在進行形の非正義が厳然と存在するのだから。

期待していたが3
 出生がらみの筋立てはアガサクリスティーを思い起こさせます。しかし、こうして日本語で書かれた作品を読んでみると、盛り上がりに欠けるということでしょうか。光彦が「ああでもない、こうでもない」という独り言が多く、それが単調さの理由のひとつです。いつまでも60才くらいの婦人が武道に優れた元刑事をナイフで殺害したと想定し続けているところは、どんなものかと思います。