ザ・ロード
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商品の詳細
- Amazon.co.jp ランキング: #5824 / 本
- 発売日: 2008-06-17
- オリジナル言語: 日本語
- 版型: ハードカバー
- 270 ページ
エディターレビュー
内容紹介
世界は本当に終わってしまったのか?
滅びゆく大陸を漂流する父と子の
壮絶な旅路を描く、巨匠の代表作。
ピュリッツァー賞受賞。
【本書より抜粋】
友達はいた?
ああ。いたよ。
たくさん?
うん。
みんなのこと憶えてる?
ああ。憶えてる。
その人たちどうなったの?
死んでしまった。
みんな?
そう。みんな。
もう会えなくて寂しい?
うん。寂しい。
ぼくたちどこへ行くの?
南だ。
内容(「BOOK」データベースより)
父と子は「世界の終り」を旅する。人類最後の火をかかげ、絶望の道をひたすら南へ―。アメリカの巨匠が世界の最期を幻視する。ピュリッツァー賞に輝く全米ベストセラーの衝撃作。
著者について
小説家。1933年、ロードアイランド生まれ。トマス・ピンチョン、ドン・デリーロ、フィリップ・ロスと並び称される現代アメリカを代表する巨匠。
大学を中退すると、1953年に空軍に入隊し四年間の従軍を経験。その後作家に転じ着々と評価を高め、〈国境三部作〉の第一作となる第六長篇『すべての美しい馬』(1992)(ハヤカワepi文庫)で全米図書賞、全米批評家協会賞をダブル受賞した。第九長篇『血と暴力の国』(2005)は、2007年度アカデミー賞最優秀作品賞を受賞した映画《ノーカントリー》の原作となり話題となっている。
ピュリッツァー賞を受賞した2006年発表の本書は、発売後ただちに英米の有力各紙誌で絶賛され、マイケル・シェイボン、スティーヴ・エリクソン、デニス・ルへインら著名作家が手放しの讃辞を寄せた。ニューヨークタイムス・ベストセラーリストに30週以上ランクイン、170万部以上のセールスを記録している。
カスタマーレビュー
「世界」と「運命」の物語
物語は(おそらく)核戦争で破滅した世界、灰が降り積もり、地球は核の冬を迎えている。
そんな世界を父親と子供が南に向かってひたすら旅を続ける・・・こう書くとこの物語は典型的な近未来終末SF物語に思えます。
ただ他のレヴューにもあるように、それだけでこの物語を読むと、なにか物足りなさが残ります。
(SF小説としては細部の説明があまりも不足していますし。物語の起伏もあまり少ないです。)
ただ作者の前作「血と暴力の国」からの流れとして捉えると、作者が書きたい本質は別のところに存在しているように思われます。
それは「ひたすらに悪くなる世界」と「運命」ということではないでしょうか。
過剰なまでの残酷描写も、現実世界を見ればあながち物語の中だけのフィクションとも言えないです。
「血と暴力の国」で描かれていた現実社会における「悪」が拡大していけば、人間はどこまでも残虐になっていきます。
時代は更に悪くなり、人の持つ小さな良心でさえ維持する事が困難になりつつあります。
そんな狂った世界でも人はそれぞれ「運命」を背負い(火を運び)、時に悪や善と交わりながら行きて行かなければならないのではないでしょうか。
人としての最後の一線でぎりぎり踏みとどまる主人公が体現する過酷な現実は、我々の眼前にまで迫りつつある現実世界の比喩としてリアルに感じることができます。
最後に子供を持つ一人の父親として、この物語はあまりにも辛く、せつないです。(特に子供の寝顔を見つめるシーン)
軽い気持ちで読むことはあまりお薦めできない1冊です。
面白いが違う文化圏の読者にはやや難解か
もともと書評などあまり読まず、感覚で本を選んでいます。近未来の核戦争後
の時代が舞台になっている、父と子のロード・ノベル、というだけの事前知識で
読み始めました。読んでいるときは、情景描写が複雑で読み辛いなといった印象
で読み進んでいきました。後半その文体にも慣れてくるのですが長編としては短
い作品なので文体に慣れてくるころには結末になっていました。モチーフとして
はSFなのですが、中身は完全に文芸書だと思いました。訳者あとがきを読むとよ
くわかるのですが、暗示が非常に多く、その出典を紐解くだけで解読本ができそ
うです。
破滅・終末後世界を舞台とする作品は数多くありますが、なぜか私は『羅生門』
を連想しました。作者はアメリカ文学界の巨匠だそうで、エンターテイメントの
ような起承転結があるわけではなく、淡々と物語が展開していきます。暗示が
日本人にはなじみがなく、文体も独特なので、軽い読み物だと思って手にとると
期待を裏切られるかもしれません。それなりの予備知識と心構えをもって読むな
らば文芸書として高く評価される作品なのではないでしょうか。
父親の無償の愛、息子の成長。人として生きる旅
灰が降り積もる荒涼たる風景。既に動植物は死滅した凍てつく不毛の大地を父親と幼い息子は旅を続ける。
父親にとって少年は光だ。唯一つの、生きている意味だ。
生き延びるため、少しでも暖かい南へと向かうが、そこに何があるのか?
この世界で確かなのは父親の少年への愛だ。少年を守るためなら殺人も躊躇しない。
しかし、この絶望の世界に幼い息子を一人残していかなければならなくなったら…。もし、この光が、欲望を剥き出しにした殺戮者達に散らされ焼かれ喰われてしまうくらいなら…。父親は拳銃を少年に手渡し抱きしめる。「やり方はわかるだろう。口に入れて上のほうへ向ける。すばやく力いっぱい引く。わかるな?」
自分たちに差し迫った死をかわす度、幸運というものは幸運ではないかもしれない。もう終わってくれればいい、と父親はずっと願っている。
少年は、荒廃した、人が人を喰らうこの世界で、父親に問う。「ぼくたちは誰も食べないよね?」
「僕たちは今でも善い者なの?これからもずっとそうだよね。」
自分たちの荷物を盗んだ男にさえ「お願いだから殺さないで。助けてあげてよ。」と父親に懇願する。
少年は純真無垢で、そして残酷だ。
「パパはほんとに勇敢なの?」
「ぼくが泣いちゃいけないんならパパも(夜中に)泣いちゃいけないはずだよ。」
少年も父親の愛と自分たちが生き抜くための行為に葛藤を抱える。病に侵され死が間近に迫る父親を見つめる少年は、もう幼いだけではなく父親との間に距離ができ始めている。
地球環境を破壊し、人の文明も歴史も消滅させた今は自らの種族をも狩る獣と化した愚かな生き物。
この灰色の世界で常に死を感じながら、自分たちは『善い者』と信じ、『人』として旅を続ける父子の姿が愛おしい。
「訳者あとがき」によると本書も映画化され既に撮影は終了しているとのこと。この心に深く沁み込むような印象的な父子の会話を映画公開前に原書で読んでみたい。





