わたしたちが孤児だったころ (ハヤカワepi文庫)
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商品の説明
Christopher Banks, an English boy born in early-20th-century Shanghai, is orphaned at age nine when both his mother and father disappear under suspicious circumstances. He grows up to become a renowned detective, and more than 20 years later, returns to Shanghai to solve the mystery of the disappearances.
Within the layers of the narrative told in Christopher's precise, slightly detached voice are revealed what he can't, or won't see: that the simplest desires -- a child's for his parents, a man's for understanding -- may give rise to the most complicated truths.
A feat of narrative skill and soaring imagination, When We Were Orphans is Kazuo Ishiguro at his brilliant best.
Performed by John Lee
商品の詳細
- Amazon.co.jp ランキング: #20467 / 本
- 発売日: 2006-03
- 版型: 文庫
- 537 ページ
エディターレビュー
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アヘン取り引きに絡んでいたイギリス人ビジネスマンの父親が上海の自宅から突然姿を消したとき、9歳のクリストファー・バンクスは友だちのアキラと探偵ごっこに夢中だった。「中国人街のうさぎ小屋のような路地で追いかけっこや殴り合い、撃ち合いをしたあと、詳細は違っていても決まって必ず、ジェスフィールド公園での壮大な儀式で探偵ごっこは締めくくられた。その儀式で僕たちは、一段高くなった特別ステージにひとりずつ上り…拍手喝采を送る群衆に向かって挨拶するのだった」
次いで母親までもが行方不明となったクリストファーは、イギリスへ送られることになる。2つの世界大戦に挟まれた時代を彼はそこで過ごし、やがて「自称」有名な探偵になる。しかし家族を襲った運命が彼の頭から離れることはなかった。クリストファーは懸命に記憶をたどり、両親の失踪に何らかの意味を見出そうとする。そして1930年代末、彼はついに上海に戻り、自分の人生において最も重要な事件の解決に乗り出すのだった。しかし調査を進めるにつれ、現実と幻想との境界線は次第にあいまいになっていく。彼の出会った日本兵は本当にアキラなのか。両親は本当に中国人街のどこかに監禁されているのか。そして、何か重要な祝典を計画しているらしいグレイソンというイギリス人の役人はいったい何者なのか。「まず何よりも先にお聞きしたいのはですね、儀式の会場をジェスフィールド公園にすることでよろしいかということです。なにしろ、かなり大きなスペースが必要となりますのでね」
『When We Were Orphans』でカズオ・イシグロは、犯罪小説の伝統的な手法を用いて、少年時代のトラウマが落とす影から逃れられないでいる困惑した男の心情を感動的に描き出している。シャーロック・ホームズは推理の際、泥のついた靴や袖についた煙草の灰といった断片的な証拠で事足りた。しかしクリストファーに残されたのは消えゆく遠い昔の記憶だけ。彼にとって、真実はもっとずっと捕らえ難いものだった。小説は一人称で書かれているが、クリストファーの慎重に抑制された語りには冒頭からほころびが見られ、彼を通して見る世界が必ずしも信頼できないことを暗示する。そのため読者は、自らもまた探偵になることを迫られ、クリストファーの記憶の迷路を真実のかけらを求めてさまようのである。
イシグロはもともと派手な弁舌に走る作家ではない。しかし、この作品に漂うもの静かなトーンは、かえって強く感情を揺さぶってくる。『When We Were Orphans』は見事なまでにコントロールされた想像力の傑作である。そしてクリストファー・バンクスは、著者の創造した人物のなかでも、最も印象的なキャラクターのひとりと言えるだろう。
Synopsis
In 1930s England, Christopher Banks has become one of the country's most celebrated detectives. His cases are the talk of London society. Yet one mystery has always haunted him, the mysterious disappearance of his parents in Old Shanghai, when he was a small boy.
内容(「BOOK」データベースより)
上海の租界に暮らしていたクリストファー・バンクスは十歳で孤児となった。貿易会社勤めの父と反アヘン運動に熱心だった美しい母が相次いで謎の失踪を遂げたのだ。ロンドンに帰され寄宿学校に学んだバンクスは、両親の行方を突き止めるために探偵を志す。やがて幾多の難事件を解決し社交界でも名声を得た彼は、戦火にまみれる上海へと舞い戻るが…現代イギリス最高の作家が渾身の力で描く記憶と過去をめぐる至高の冒険譚。
カスタマーレビュー
喪失感と希望
「日の名残り」にしても本書にしても、イシグロの作品を読むと、「喪失感」という言葉が浮かんできます。私達は生きている間にいろいろなものを失っていく。時にはかけがえのない大切なものを、自分がそうとは知らぬ間になくしていき、後から振り返ってそれに気づくのだが、そのときはもう全てが終わっている。本書を読むとそんなメッセージが伝わるように思います。
物語の前半は比較的ゆっくりと登場人物のあり方が描かれているのに対して、後半は下手すると荒唐無稽な展開が繰り広げられ、驚きと不安を読者に持たせ、一気に切ない大団円を迎えます。
喪失そのものは哀しく切ないのですが、しかし読後感は決して悲愴感だけではありません。失うことを現実としてあるがまま受け入れ、はじめてそこから何かが始められる、そんなそこはかとない希望を持たせてくれる、素敵な小説でした。
When We Were Orpahns
イシグロ作品を読んだのはこれが4作目。The Unconsoled を除いて発表された順に読んできた。最初の2作品(A Pale View of Hills と An Artist of the Floating World)はしみじみとした趣で、こうした日本人の心情をイギリス市民となったイシグロはどのようにしてつかんだのかと不思議に思われた。
3作目The Remains of the Day は古き良き時代のイギリスの伝統的な世界と当時の世界情勢を描いていて興味深かった。
さて、このWhen We Were Orpahns はそれまでの作品に比べると、かなり波乱にもとんでいて物語性があり、大戦間の上海を舞台に、当時の状況も生き生きと描かれていて読み進むにつれて引きこまれていった。動乱の世界状況を背景にあまりにも明白なフィクションが十分に楽しめる。フィクションだと承知していながら結末の部分には涙なしには読めなかった。プロットが複雑という評もあったが、結局は非常にわかりやすい設定だと思う。唯一、幼なじみのアキラに関して最後の部分の主人公の心情の描き方が不十分で理解に苦しんだ。
なおイシグロの英語は全作品を通してとても読みやすく、この点も私が彼の作品を好む所以である。
熟語の宝庫
斎藤兆史著『英語達人塾』の中で、そのすぐれた英文であることを知り、自分も読んだ次第。自分はあまり英語が出来るわけではありません。ですから、一文また一文のなかに、辞書の例文よりも最適な英文がちりばめられているのを見ると、辞書を引いてノートを作ることが、とても楽しくなってきます(もっとも英語が出来る人なんかは、小説を読むとき、まず辞書はお引きにならないでしょが)。 加えて、オーディオのJohn Leeが読む読み方・声もいい。併せて『わたしたちが…』の翻訳も意訳なく逐語訳なく、いい。余談ですが弊塾では、原書を教材として、大学院受験生に使用しています。すでに世に多くの英語教材あれど、本書およびその付属書の完璧なこと、言うに及ばない気がします。未読の方で、英語力をつけたい方、それと、辞書を引いてノートを作ることを苦に思わない人、ぜひお読み下さい。





