ブライトン・ロック (ハヤカワepi文庫―グレアム・グリーン・セレクション)
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商品の詳細
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- 発売日: 2006-06
- 版型: 新書
- 495 ページ
エディターレビュー
内容(「BOOK」データベースより)
海辺の行楽地ブライトンに巣喰う十七歳の不良少年ピンキー。つねに硫酸と剃刀を持ち歩き、どんな暴力をも厭わない少年はまさしく悪の化身だった。彼はある時、仲間とともに殺人を犯す。完璧なアリバイを偽装したつもりだったが、ある純朴なウェートレスだけが少年たちの怪しい行動を目撃していた。口を封じるため、ピンキーは同い年の彼女に近づくが…名訳で贈る、善と悪、永遠とは何かを問うグリーン初期の代表的長篇。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
グリーン,グレアム
イギリスを代表する作家であるとともに、20世紀のもっとも偉大な作家のひとり。1904年10月2日、ロンドン北西のバーカムステッド生まれ。オックスフォード大学卒業後、1926年から『ザ・タイムズ』に勤務。1929年に『内なる私』で文学界に登場した後、『ザ・タイムズ』を退社して作家活動に入る。第二次大戦中は情報活動に従事していた。『ブライトン・ロック』(1938)と『権力と栄光』(1940)で作家としての地位を確立し、『事件の核心』(1948)、『情事の終り』(1951)で世界的な名声を得た。自らの作品を「ノヴェル」と「エンターテインメント」に分類したことでも知られる。1991年4月3日死去
丸谷 才一
1925年生、東京大学文学部英文学科卒。作家・英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
カスタマーレビュー
絶対悪は存在するか
本作は、常に剃刀と硫酸の壜を持ち歩き、わずか十七歳にしてどんな暴力をも厭わない
(時には人殺しさえも)不良少年と、彼の大罪に気付きつつも彼への愛を惜しまない
(どころか彼と一緒に大罪を背負う覚悟までした)少女、そして自身の正義のために
彼を執拗に追い回す女との駆け引きを描いた、英国、そして二十世紀を代表する
作家の一人であるグレアム・グリーンの初期作品にして代表的長編である。
頁数は五百頁弱で、いささか長いように思われるが、グリーンの軽快な筆致と
丸谷才一の名訳が巧く合わさり、見事にそれを感じさせない。私は文字通り、
息つく暇もないといった具合に、一気に読み終えてしまった。
この作品の主題は、何といっても『善と悪』についてだろう。法治国家や、
世間一般の倫理観では、どう考えてもアイダ(女)の行動が正しい。だが、アイダの
独善的な善悪・正義の定義(それを相対的なものだとは認めず、自らの考えを盲目的に
絶対と捉えている)は嫌悪感すら覚えるし、ピンキー(不良少年)の物の見方(例えば、
恋愛やセックスに対する)や鬱屈とした立場から来る、言い知れない、そして誰もが
経験するわけではない不毛な怒りに、十代半ばの自分自身を見てしまった私は
ピンキーの側に立つしか術はなかった。いや、この作品を読む前は確かに抱いていた
正義感を捨てずに、アイダを応援出来る人間は、一体何人いるのだろうか。
無駄話が過ぎた。とりあえず、この作品を十代の貴方、そして瑞々しい感性を
忘れない貴方に薦める。グリーンの作品を十代の頃に読めた人は、幸運だ。
追伸
人一倍正義感を持っていると自負していた私だが、読了後はアイダに殺意を抱いた。
それほどまでに、正義とは脆く、相対的なものなのかもしれない。




