悪童日記 (ハヤカワepi文庫)
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商品の詳細
- Amazon.co.jp ランキング: #5579 / 本
- 発売日: 2001-05
- 版型: 文庫
- 301 ページ
エディターレビュー
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ハンガリー生まれのアゴタ・クリストフは幼少期を第二次大戦の戦禍の中で過ごし、1956年には社会主義国家となった母国を捨てて西側に亡命している。生い立ちがヨーロッパ現代史そのものを体現している女性である。彼女の処女小説である本作品も、ひとまずは東欧の現代史に照らして読めるが、全体のテイストは歴史小説というよりはむしろエンターテインメント性の強い「寓話」に近い。
そもそもこの小説には人名や地名はおろか、固有名詞はいっさい登場しない。語り手は双子の兄弟「ぼくら」である。戦禍を逃れ、祖母に預けられた「ぼくら」は、孤立無援の状況の中で、生き抜くための術を一から習得し、独学で教育を身につけ、そして目に映った事実のみを「日記」に記していく。彼等の壮絶なサバイバル日記がこの小説なのである。肉親の死に直面しても動じることなく、時には殺人をも犯すこの兄弟はまさに怪物であるが、少年から「少年らしさ」の一切を削ぎ落とすことで、作者は極めて純度の高い人間性のエッセンスを抽出することに成功している。彼らの目を通して、余計な情報を極力排し、朴訥(ぼくとつ)な言葉で書かれた描写は、戦争のもたらす狂気の本質を強く露呈する。
凝りに凝ったスタイル、それでいて読みやすく、先の見えない展開、さらに奥底にはヨーロッパの歴史の重みをうかがわせる、と実に多彩な悦びを与えてくれる作品である。続編の『証拠』『第三の嘘』も本作に劣らない傑作である。(三木秀則)
内容(「BOOK」データベースより)
戦争が激しさを増し、双子の「ぼくら」は、小さな町に住むおばあちゃんのもとへ疎開した。その日から、ぼくらの過酷な日々が始まった。人間の醜さや哀しさ、世の不条理―非情な現実を目にするたびに、ぼくらはそれを克明に日記にしるす。戦争が暗い影を落とすなか、ぼくらはしたたかに生き抜いていく。人間の真実をえぐる圧倒的筆力で読書界に感動の嵐を巻き起こした、ハンガリー生まれの女性亡命作家の衝撃の処女作。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
クリストフ,アゴタ
1935年ハンガリー生まれ。1956年のハンガリー動乱の折りに西側に亡命して以来、スイスのヌーシャテル市に在住している。1986年にパリのスイユ社から世に送り出したフランス語の処女小説の本書によって一躍脚光を浴びた。その後、続篇にあたる『ふたりの証拠』(88)『第三の嘘』(91)を発表して三部作を完成させ、力量ある第一級の作家としての地位を確立した
堀 茂樹
1952年生、フランス文学者、翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
カスタマーレビュー
読解力を試される傑作
第二次世界大戦のさなか、都市から田舎の小村に疎開した双子の男の子が、祖母である老婆と暮らすことになる。そして老婆と子供の心の交流が始まる、などというありがちな展開は全くなく、双子は性悪の老婆に奴隷のようにこき使われ、村人達からも冷たい扱いを受ける。生き延びるために強くなることを強いられる生活の中で、二人は自分たちに起きたことをノートにつづることにした。そのノートがこの本である、という設定になっています。
文章をつづる際、双子は自分たちに一つのルールを課します。それは、主観や感情を排して事実のみを記載すること。だから、この本の中で人々の思いは一切説明されません。なぜ彼らはそんな行動をとったのか、なにが起きたのか、どう思ったのか、それは書かれている事実をもとに、読み手が想像していくしかありません。読解力を試される小説です。ある人にとってはただのエログロ、ある人にとっては痛切な反戦の書と、読者の感性によっても印象が違うと思います。
簡潔な文章なのに、いや簡潔だからこそ、想像力が刺激され情景が強烈にイメージされる。魔力のような文章に圧倒されました。
本書には続編の「ふたりの証拠」と「第三の嘘」があり、それらを読むと違う世界が現れてくる仕掛けになっています。そちらはそちらでお勧めなのですが、この1冊だけ独立した小説として心の中に取っておきたいとも思ってしまいます。あえて続編を読まないという手も・・・などと言ったら作者のファンに叱られそうですが。
ラストの衝撃がいつまでも胸に残りました。
深く残る作品です。
私が『悪童日記』を初めて読んだのは小6の時。
あまりの衝撃に、2晩ほどずっとこの本の事を考えていました。
戦争の中、淡々と語る何のモザイクのない「ぼくら」が見た世界。
その中で生き延びるための術。
読み終わったとき、何かが心に残りました。
今でも読み返す事が度々あります。
読んで良かったと思うと同時に、この本を買ってきた姉には本当に感謝してます。
読まなきゃ損。といっても個人的には過言ではありません。
びっくりしました
簡潔な文体。簡潔な章立。衝撃的な結末。本書読了後の正直な感想は「びっくりした」です。主人公の双子の少年達は大人たちの行動を冷静な目で見つめている。その冷静な目は怒り、悲しみ、憎しみ、異常さ、死を問わず、いつも変わることのない目線である。自分達を鍛え上げ、自分達で生きる術を身に付け、成長していく。そして衝撃のラスト。
気分を害する読者もいるかもしれませんが、現実とはこんなものなんですね。美化したり、言葉で誤魔化したりする場面が、生きていると一杯ありますが、事実を書き連ねると本書のようになってしまうんですね。そして我々はその現実を見つめる「練習」をしないと、ちょっと気を許すと「お花畑の住人」になってしまう危機があることを理解しなければなりません。本書はその練習にもってこいです。現実から目を離してはいけないことを、我々に強烈に教えてくれます。





