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思想地図〈vol.3〉特集・アーキテクチャ (NHKブックス別巻)

思想地図〈vol.3〉特集・アーキテクチャ (NHKブックス別巻)
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  • Amazon.co.jp ランキング: #4485 / 本
  • 発売日: 2009-05
  • 版型: 単行本
  • 291 ページ

エディターレビュー

内容(「BOOK」データベースより)
「アーキテクチャ」とは何か?建築から社会設計、コンピュータ・システムまで、私たちの「生」をコントロールする、その多様なあり方に迫る。アーキテクチャの権力にどう対峙するべきか?喫緊の課題に挑む論文・討論を多数収載!イデオロギーが失効した時代の批評の新たなる可能性を切り開く、アクチュアルな知の最前線、ここにあり。

カバーの折り返し
批評の閉鎖を打ち破れ!

「アーキテクチャ」とは何か?
建築から社会設計、コンピュータ・システムまで、私たちの「生」をコントロールする、その多様なあり方に迫る。
アーキテクチャの権力にどう対峙するべきか?
喫緊の課題に挑む論文・討論を多数収載!"
イデオロギーが失効した時代の批評の新たなる可能性を切り開く、アクチュアルな知の最前線、ここにあり!

著者について
●編集委員●

・東浩紀(あずま・ひろき)
1971年生。東京工業大学世界文明センター特任教授。専攻は哲学、表象文化論。主な著書に『自由を考える』(共著)、『東京から考える』(北田暁大との共著、ともにNHKブックス)など。

・北田暁大(きただ・あきひろ)
1971年生。東京大学大学院情報学環准教授。専攻は理論社会学、メディア史。主な著書に『嗤う日本の「ナショナリズム」』(NHKブックス)など。

●執筆者●

・浅田彰(あさだ・あきら)
1957年生。京都造形芸術大学大学院長。京都大学大学院経済学研究科博士課程中退。

・安藤馨(あんどう・かおる)
1982年生。東京大学大学院法学政治学研究科特任研究員。専攻は法哲学

・磯崎新(いそざき・あらた)
1931年生。建築家。作品に、大分県立中央図書館(一九六七、現アートプラ
ザ)、群馬県立近代美術館(一九七四)、ロサンゼルス現代美術館(一九八七)、トリノ・パラホッケー(二〇〇六)、北京中央美術学院美術館(二〇〇八)、深
圳文化中心(二〇〇八)など。

・宇野常寛(うの・つねひろ)
1978年生。批評家。企画ユニット「第二次惑星開発委員会」主宰。批評誌『PLANETS』編集長。戦後文学からコミュニケーション論まで、幅広い評論活動を展開する。

・円城塔(えんじょう・とう)
1972年生。小説家。東北大学理学部物理学科卒業、東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。二〇〇七年、「オブ・ザ・ベースボール」で第一〇四回文學界新人賞受賞、同作品で第一三七回芥川賞候補となる。

・河野至恩(こうの・しおん)
1972年生。2003年、プリンストン大学大学院比較文学部博士課程修了。上智大学国際教養学部講師。専門は比較文学、日本近代文学。論文に "The
Rhetoric of Annotation in Mori Ogai `s Historical Fiction and Biographies "(Journal of JapaneseStudies, 32:2)など。

・鈴木謙介(すずき・けんすけ)
1976年生。関西学院大学社会学部助教、国際大学GLOCOM研究員。専攻は理論社会学。TBSラジオ「文化系トークラジオLife」メイン・パーソナリティなど。主な著書に『ウェブ社会の思想』(NHKブックス)など。

・濱野智史(はまの・さとし)
1980年生。株式会社日本技芸リサーチャー。専攻は情報社会論。国際大学GLOCOM研究員を経て現職。論文に「ニコニコ動画の生成力」(『思想地図』vol.2)など。

・原武史(はら・たけし)
1962年生。明治学院大学国際学部教授、同付属研究所所長。専攻は日本政治思想史。

・福嶋亮大(ふくしま・りょうた)
1981年生。文芸批評家、日本学術振興会特別研究員。『ユリイカ』にて「神話社会学」を連載。論文に「物語の見る夢」(『思想地図』vol.1)など。

・藤村龍至(ふじむら・りゅうじ)
1976年生。建築家。藤村龍至建築設計事務所主宰。東京理科大学、首都大学東京、日本女子大学非常勤講師。作品に《BUILDING K》《UTSUWA》ほか。ROUNDABOUT JOURNALなどのメディア・プロジェクトも積極的に行う。

・宮台真司(みやだい・しんじ)
1959年生。社会学者。首都大学東京教授。専攻は理論社会学(社会システム理論)。東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了(社会学博士)。主な著書に『幸福論』(共著、NHKブックス)など。


カスタマーレビュー

統治技術としてのアーキテクチャ5
 ここで言う「アーキテクチャ」とは「建築」のみを指すのではなく、「社会設計」「コンピュータ・システム」をも含め、「現代社会において人間の生活にいつの間にか入り込んで人々の行動を制御する、工学的で匿名的な権力の総称」として使われている。

 共同討議「アーキテクチャと思考の場所」では、建築家代表として磯崎新氏が参加しており、孫ほど年が離れた論者たちと議論を交わしている。そこで磯崎氏は、90年以降に建築という概念が拡張していくことを指摘し、元世界銀行総裁のポール・ウォルフォウィッツが建築家という肩書で新聞に出たことに触れ、「政治的なあるいは経済的な社会構造全部を含めた構想を組み立てていく人間」を広く建築家と呼ぶようになったとする。

 さらに2ちゃんねるアーキテクトとしての西村博之氏に話題が及ぶ。西村氏は「ネット・コミュニティを作りたいんじゃなくて、ネット上の都市のようなものを作りたい」と述べ、その「匿名性」に注目している。

 共同討議とは別に、若手建築家代表?として、藤村龍至氏による論文「グーグル的建築家像をめざして」が掲載されており、そこで藤村氏は、与条件を深く読み込んだ建築としての複雑さを維持しつつ、スピードと両立するために開発・実践している「超線形設計プロセス論」という方法論を紹介。具体的に言うと、設計履歴を残すことによって、専門家の暗黙知を共有可能な形式知に変え、設計に関わる人々の集合知を形成しようとするプロセス。

 理論社会学専攻の鈴木謙介氏は論文「設計される意欲」で、アーキテクチャとは「人々に不自由感を与えることなく、設計者の思い通りに人々を操作する統治技術」としているのは、映画:マトリックスを思い起こさせる。

 その他にも多数の論文が掲載されており、現代思想に関する知識に乏しい身には理解しづらい専門用語も見受けられるが、同世代の論者たちが現代社会を様々な視点から読み解く内容は非常に刺激になる。

アーキテクチャが注目に値することをしっかりと表して欲しかったなぁ5
シンポジウムとは概ね何か結論が出てみんなでハッピーエンドという訳にはいかず、打ち上げ花火みたいなものでパッと開いて後には何も残らない…というのが常でありそういうものですが、今回収められたシンポジウムは、そもそも参加者の思考がバラバラの中その手探りの歩み寄り(だが決して、誰一人として寄ることはできなかった模様)を見せられただけで終わったような感じでした。とは言っても、その「歩み寄り」はやはりベテラン勢、芸になっています。読んで損をするということは無いでしょう。それぞれの立ち位置ははっきりと出ており、そう言う意味では非常によいシンポジウムなのかも知れません。。

今回、いまやいたるところで名前を見る感がありますが、作家の円城塔さんが小説を書いているということで興味を持ち、買いました。本書自体のアーキテクチャとして、今回の巻は一番うまく出来上がっていたのではないかと思います。もう少し個人の論考をきちんと多く入れて欲しかったというのはありますが。

すれ違いっぷりが楽しい5
東浩紀さんと北田暁大さん編集の思想誌第三弾。冒頭のシンポジウムがすばらしい。磯崎新、浅田彰、宮台真司から東さんを挟んで濱野智史、宇野常寛まで。この世代と専門領域のごちゃまぜ感。いきなり「ここでの問題意識の何が新しいのかわからない」という浅田さんが、後半には「新しい問題だ」と立場を変えたり、宮台さんが独特としかいいようのない角度から混ぜ返したりなどなんでもあり。そのなかから参加者の立ち位置や問題意識が明確に色分けられていきます。結論を求めるのではなく、お互いのすれ違いっぷりをまずは認めて議論の土台をつくる。楽しい企画でした。

東×北田の「東京から考える」に天皇制研究の原武史さんが加わった鼎談もいいし、最後の東×宮台の北米講演のレポートもおもしろい。日本文学の作品はそれでも翻訳されているが、批評については「批評空間」以降が皆無だから文脈が伝わっていない、という東さんの指摘が、20年前の柄谷さんの指摘とまったく同じなのに驚きです。普遍語としての英語と日本語の問題を考えると、みんな「日本語が亡びるとき」になってしまうのでしょうか。。。(注:東さんが水村さんと同じというわけではありません。柄谷=水村の「文学の終わり」的態度を批判していますから。しかし東さんが村上春樹やジャパニメーションに見ている日本文化の普遍性というのは、十分に怪しいと思います)

ジョージ・オーウェル「一九八四」の監視する権力者と、現代的な中心のない権力の違いが焦点になっているあたり、村上春樹「1Q84」と無関係でもありません(ビッグブラザーとリトルピープル)。これもまた同時代的なすれ違いか。とにかく「買い」。