昭和天皇〈上〉 (中公文庫)
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商品の詳細
- Amazon.co.jp ランキング: #278850 / 本
- 発売日: 2008-07
- 版型: 文庫
- 360 ページ
エディターレビュー
出版社 / 著者からの内容紹介
その誕生から終戦まで、昭和天皇の足跡を丹念に辿りながら、「昭和の意味」を浮き彫りにし、日本という国、天皇という存在の意味を改めて問う。
内容(「BOOK」データベースより)
戦前は「立憲君主」、戦後は「象徴天皇」として一貫した行動を取り続けた昭和天皇。その足跡を丹念に辿りつつ、「昭和の意味」を浮き彫りにし、日本という国、天皇という存在の全体的意義を改めて問い直す。昭和史研究の第一人者による労作。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
保阪 正康
1939年12月、札幌市生まれ。同志社大学文学部社会学科卒業。評論家、ノンフィクション作家。出版社勤務を経て著術活動に入る。主に近代史(特に昭和史)の事件、事象、人物に題材を求め、延べ四千人の人々に聞き書きを行い、ノンフィクション、評論、評伝などの作品のほか、社会的観点からの医学、医療に関する作品を発表している。現在、個人誌『昭和史講座』を主宰。2004年、菊池寛賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
カスタマーレビュー
偉大な先帝を偲んで
昭和天皇が崩御されて平成の世になり長い時間が過ぎた。
この夏昭和という時代を振り返るよすがとしてこの本を読んだ。
そこに描かれているのは「立憲君主」たらんとされた先帝陛下のお姿と「国民と共に」と心がけられる陛下のお姿である。
もとより陛下は決して私的な感情を漏らされるようなことはなかったが、この本では侍従やご学友、侍従武官などの証言と折々に発表された御製から陛下が時代時代の節目にどのように考えておられたかがよく分かる。
自分がもっとも感銘を受けたのは戦後のご巡幸において夫が傷病兵という夫婦の部屋に行かれて「ずいぶん働いてくれたんだね」とお声をかけられ、妻は大声で泣き、陛下も目を潤ませておられた、というくだりである。
我が国は昭和前期という困難な時期にかくも英明で慈悲にあふれる君主を戴いたことを幸運とすべきであろう。
昭和天皇を知る入口として
軍部が台頭し始めた頃から敗戦直後までの昭和天皇については、何冊かの著書で断片的に知ってましたが、この「昭和天皇」で初めて、ご生誕から即位されるまでの皇太子時代に触れ、その余りの鮮やかさに畏れ入ってしました。
世界の一等国を目指す立憲君主国に相応しい君子とはいかにあるべきか。その一点を極めるために日本の英知が結集し、当時の日本でなし得る最高度の教育が施されたんですね。特に、当時の学習院院長だった乃木希典から受けた、質素を常とする精神を実践する姿がまた素晴らしい。服や靴下に穴が開けばツギを当てて着回していた皇太子など外にいるでしょうか。
乃木希典から東郷平八郎へと明け継がれた監督の下、 徹底した君子としての倫理教育は、まさに日本人の美徳の粋を抽出した傑人を作り上げるものだった様に思います。
そうまでして大切に育てられた昭和天皇が、即位から僅か3年足らずで、既に暴走の兆しを見せ始めていた軍部に悩まされようになる姿は、読み進めるのが辛くなるほどでした。
「君臨すれども統治せず」の教えと、しかし君主として何かせねばというジレンマに苛まれ、意を決して発した言葉は軽んじられ、戦争へとひた走る日本を傍観し続けたご心痛は如何ばかりだったでしょうか。
国民が緒戦の戦果に酔いしれた時期も、天皇が読まれた辞世の句に高揚感は無く、ただひたすらに国の行く末を憂う言葉が並んでいます。
無論、天皇も人の子であり、また戦争や軍事力自体を否定していた形跡はありませんし、結果的に戦争遂行に荷担してしまった部分もあったかと思います。杓子定規に結論を出せば、天皇の戦争責任を問うことは全然可能でしょう。
しかし一部の人達がいうように、責任逃れをしようと自己保身に走ったとは考えられません。もし天皇がそんな人物だとしたら、マッカーサーが天皇を陛下と呼ぶことも、また執念のような全国行幸に邁進されることも無かったと思います。
昭和の幕開けからの20年、戦争に明け暮れた時代の中にあって、あれほど高貴なお人柄の君主がいたことは日本にとって不幸中の幸いと言えるかもしれません。
それにしても、即位までの輝かしい青年期から、敗戦までの道程の中で次第に色褪せていく様は、まるでベルナルド・ベルトルッチの映画を見ているようでした。
尚、この本の中でもあまり多くは登場していませんが、昭和天皇の母君であられる貞明皇后も実に素晴らしい人格の持ち主だったようです。





