カストロ―民族主義と社会主義の狭間で (中公新書)
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商品の詳細
- Amazon.co.jp ランキング: #450502 / 本
- 発売日: 1996-03
- 版型: 新書
- 195 ページ
エディターレビュー
内容(「BOOK」データベースより)
「人間の目が見た最も美しい島」と賞賛されたキューバは、スペインからの独立後も隣接する大国アメリカの絶えざる干渉、地政学的地位への関心ゆえに接近するソ連の狭間で揺れ動きつつ、社会正義と民族主義の理想を追求してきた。しかし、カリスマ的指導者カストロの独断、計画経済の構造的欠陥、野心的に過ぎた高福祉政策と国際主義の破綻により、経済は極度に逼迫し国民の希望は喪われつつある。社会主義の理想は生き残りうるのか。
カスタマーレビュー
キューバの過去と現在
著者は駐キューバ大使も勤めた外交官。本書は、現地での経験を交えつつキューバの過去と現在を描いたものである。
国際政治史はどうしても大国中心的に描かれてしまうきらいがある。しかしながら、本書からは、革命の背景、キューバ危機、対米関係、対ソ関係など、キューバの視点から見た激動の国際政治史の展開がありありと見えてくる。革命後の国家建設という課題と、あまりにも近すぎる強大な敵国からの安全保障という課題。この二つの難題を抱えたキューバにとってソ連とは、あるいは冷戦とは何だったのだろうか?カストロを軸にキューバの政治・外交・経済史を描き出す本書には興味深い事実が満載である。
特に第九章「国際的地位の向上を求めて」は興味深かった。キューバは、プロレタリア国際主義の名の下に、第三世界各地に医療・学校・教育・経済・農業・漁業・建築など様々な分野の協力チームを多数派遣し、また途上国各国から多数の留学生を受け入れるなど、キューバの国力からは到底考えられないほどの国際協力を展開してきた。チェルノブイリ事故後には延べ二万人もの被爆者を温暖な気候のキューバに招いて無料の治療を提供してきたという。もちろんアンゴラ等における軍事介入もキューバの国際主義の一面ではある。しかしながら今日キューバが依然として中南米やアフリカ等の諸国から大きな支持を得、第三世界における国際的プレゼンスを持ちえていることの背景には、キューバの非軍事的分野における国際主義が大きな一因であったことは疑念の余地がない。
「国際貢献」の名の下に自衛隊を派遣するに至った今日の日本も、キューバの国際主義からは学ぶべきものは多いだろう。護憲派も、単に「違憲だ」を繰り返すのではなく、自衛隊派遣によらない国際貢献のあり方を具体的に提示せねばなるまい。その意味で本書は日本の国際貢献を巡る論争の両陣営に有意義な示唆を与えてくれる。
カストロという清涼剤
10年以上前に出された本であり,大使として著者が駐在したのは15年ほど前である.当時,ソビエトからの援助が停止され,Periodo especialとして苦難の時期であった.その時代においても,カストロの求心力が衰えなかったのは,一貫した「貧すれども気高く」の精神が国民に支持されていたからではなかろうか.
革命前後,キューバ危機,ソ連への依存体制等の局面で,カストロは切り抜けてきたが,その巧みな戦術は,体制を長らえさせてきたポイントであるとわかる.特に,医療などの援助とリンクした非同盟諸国からの支持,そして国内のその姿勢への支持が大きい.本書では触れられていないが,カトリックの慈愛の精神がカストロに流れているように思う.決して自国の利益のみを追求しないその姿が,米国以外の敵を作らなかったことであろう.チャベスとカストロの違いはそこにある.
著者は,共産主義の歴史における一服の清涼剤的存在と書いているが,正にその通りである.フィデルの後継としてラウルがその路線を継承できるであろうことは,本書からもわかるが,その志を継げる者が出てくるであろうか.
冷静明晰明快な分析
他のキューバ、カストロ系の本と決定的に違うのは、ラウル副首相に結構多めにスポットが当たっている事です。アメリカ寄りの情報ではラウルはフィデルよりも過激で残酷、という事ですが、少なくとも本書ではそのような感じは受けませんでした。
カストロ議長の政策、経済状態、その推移を、冷静 明晰 明快に分析し 素晴らしい本です。
「批判的ではあるが、あえて弁護したいと思った」
本書の批判的な分析部分に反発をおぼえないのは、キューバを想う優しさがあるせいでしょう。




