モサド―暗躍と抗争の六十年史 (新潮選書)
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商品の詳細
- Amazon.co.jp ランキング: #141481 / 本
- 発売日: 2009-06
- 版型: 単行本
- 220 ページ
エディターレビュー
内容(「BOOK」データベースより)
イスラエル存亡の危機を切り抜けてきた対外情報機関の素顔。「導かなければ民は滅びる」―。聖書の一句をモットーとし、敵に囲まれたユダヤ国家の安全保障に貢献してきたモサド。アイヒマン捕獲、対アラブ諜報戦、エンテベ空港強襲、イラク原子炉爆撃、海外ユダヤ人召還など成功に終わった作戦だけでなく、失敗例や他の情報機関との確執・反目にも着目しながら、謎に包まれたインテリジェンスの全貌を明らかにする。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
小谷 賢
1973年京都市生まれ。立命館大学卒業後、ロンドン大学キングス・カレッジ大学院修士課程、京都大学大学院博士課程修了(学術博士)。2004年から防衛省防衛研究所戦史部教官。現在、英国王立防衛安保問題研究所(RUSI)客員研究員。専門はイギリス政治外交史、インテリジェンス研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
カスタマーレビュー
この分野は素人ですが、
前著「日本軍のインテリジェンス」を読んで面白かったので、今回購入しました。この手の分野の本で現場にいた人が書いた著作とは異なる見方が勉強になります。一面からしかものを見ることと違って、大局的な見方はそこらへんのペーパーブックを読むより格段に面白いです。なんてったって事実なんだから。最近インテリジェンス本が多く出ていますがその中でも1冊あたりの情報量?は抜き出ているのでは? ←それくらいお得な本だと思いました。
別にAMAZONの宣伝ではないですが、上記の関連ページに関する著作本をたくさん購入してしまいました。
インテリジェンスの生きた教科書
映画化もされた「エンテベの奇跡」、イラク領内に戦闘機を潜入させて原子炉を破壊する「オペラ作戦」。その華麗なミッションは枚挙にいとまがないモサド。その歴史が活写されるのだから、面白くないはずがない!しかし著者は、それらを語りつつ「なぜ法律にも規定されていないモサドのような組織が、暴走もせずにこれまでそれなりに機能してこられたのか」と問いかける。具体的には首相との「インテリジェンス・サイクル」はどの様に回転してきたのか、他の情報機関と構成される「インテリジェンス・コミュニティー」の中にモサドはどう位置付けられ、今後どう位置付けていくべきなのか、そして冷戦後明確な戦略が見いだせないという状況下で「戦略とインテリジェンス」の関係はどうなるのか、といった問題が考察されていく。前著イギリスの情報外交 インテリジェンスとは何か (PHP新書)、日本軍のインテリジェンス なぜ情報が活かされないのか (講談社選書メチエ)(山本七平賞奨励賞受賞)同様にインテリジェンスの理論をしっかりと押さえつつ記述された本書は、面白すぎるほど面白いが、それでいて何よりもまず、インテリジェンスの生きた教科書になり得ているところが凄い。
もっと分析の視点が欲しかった。
我が国のインテリジェンス研究のパイオニアである小谷氏によるモサドの通史であり、これまでのモサドの活動に関心がある人には大いに参考になる本である。
ただ、正直にいえば、小谷氏にはもっとしっかりとした分析をして欲しかった。小谷氏であれば、もっと時間をかけて練れば、よい分析ができたはずであり、残念。この本の物足りない点は以下のとおり。
第一に、モサドのこれまでの活動は網羅されているのかもしれないが、あまりに分析的な視点がなく、事実の羅列になっている。インテリジェンス研究を専門とする小谷氏にはもっと多くを期待したかった。
第二に、あとがきに「日本が、イスラエルの情報運用から学べる点もあるのではないかと考えている(209頁)」とあるが、一体、日本が何を学べるのかが全く明らかにされていない。暗殺や秘密工作を得意とするモサドから何を学べるのか、きちんと書いて欲しかった。対外インテリジェンスの重要性が唱えられる今日の日本の状況を考えれば、日本が学ぶべき点(あるいは学ぶべきでない点)について書いていないのは大きな欠点である。
第三に、対外インテリジェンス機関としてのモサドの特殊性が説明されていない。先進国の機関の中にも暗殺や秘密工作を行っているところはあるのだろうが、モサドほど暗殺や秘密工作に手を染めている機関は少ないのではないか。そのようなモサドの特殊性をきちんと説明しないと、「対外インテリジェンス機関=謀略機関」という偏ったイメージが広まってしまい問題だと思う。
第四に、モサドの情報収集にあたっての強みは、おそらくユダヤ人ネットワークの活用であるが、それがほとんど触れられていない。資料が少なく実証が難しいのかもしれないが、情報機関としてのモサドの能力についてもう少し触れて欲しかった。
第五に、分析的な視角として、法的根拠なしに活動しているモサドのコントロールの問題に触れているが、掘り下げが足りないと思う。
残念ながら、非常に厳しい評価になってしまったが、インテリジェンス研究のパイオニアとしての小谷氏のこれまでの業績を高く評価しているし、今後に非常に期待をしている。中途半端な本を書き散らすのではなく、もっと時間をかけて、しっかりした本を書いて欲しいと思う。




