北村薫の創作表現講義―あなたを読む、わたしを書く (新潮選書)
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商品の詳細
- Amazon.co.jp ランキング: #77695 / 本
- 発売日: 2008-05
- 版型: 単行本
- 329 ページ
エディターレビュー
内容(「BOOK」データベースより)
「早稲田大学で教えた二年間、教室でこんな事を話していました」―ドラマ、映画、落語、朗読、短歌、舞台美術、音楽…さまざまな表現に“スパークする”小説家の創作魂。「その人でしかありえない」表現の秘術。より深く味わうための心得、「伝える」こと「分かる」ことの奥義。小説家の頭の中、胸の内を知り、「読書」で自分を深く探る方法を学ぶ。
カスタマーレビュー
読書の自由を知る一冊
2005年と06年に早稲田大学で北村薫が受け持った「表現の授業」の一部を活字化したものです。
新潮社や講談社の編集者や、歌人・天野慶を招くなど、北村薫ならではの創意工夫を凝らした授業が記されています。
編集者の業界裏話は本好きの読者にはたまらない面白さを伴っていますし、朗読家である北原久仁香を招いた講義部分の脚注に北村薫の短編集「1950年のバックトス」所収の「林檎の香」の裏話が書かれているのを見つけるのは、北村ファンにはこれまたたまらない読書体験といえます。
そしてなによりも、心が添うのは次の二つの言葉です。
ひとつは89頁で綴られている、
「様々な解釈は作品の中に隠れてい」て、「だからこそ、読むということが、ひとつの創作になるわけ」であり、
もうひとつは、ずっとくだって314頁の、
「読むというのは、自分がどういうところに立っているか----自分の位置を示す行為に外な」らない、です。
小中そして高校と、おそらく私たちのほとんどは読書とはあるひとつの考えを読み解く作業であると考えるように馴致(じゅんち)されるのではないでしょうか。しかし、読み解いた末に見えてくるものは読み手の数だけあるということを胸を張って言えるときに、はじめて読書は無上の喜びとなることを私自身も知りました。学校を離れた途端に読書が楽しくなった覚えのある身には、上に引用した二つはとても親近感のわく言葉に感じられるはずです。
大変良い講義でした…
みなさんは「守・破・離(しゅはり)」という心得を知っているでしょうか?
武道を志した人なら耳にした事があるでしょう…
いや武道に限らず、茶道、華道など「道」とつくものすべてにおいて言える心得
簡単に言ってしまえば
・守(修)→師について型どうりにすべてを学ぶこと
・破→その型(流派など)を自らの修行で破りさらに心と体を発展させること
・離→守や離を意識せず独自の新境地を生み出すこと
何故こんな事を思い出したかと言うと
この本の中で北村さんと、ある雑誌の編集者の話(講義)の中に
「真・善・美」という言葉が出てきたからなのです
この本はわたしも大好きなミステリ作家である北村薫さんが
実際に早稲田大学文学部で講義をされた内容の一部を
活字化したものであって小説ではないのです
書きたい事を見つけ、想像して創造する…
そんな講義から始まり
歌人を招き、生徒達に質問させそれを各自でコラムにしたり
実際に編集をされているプロの方から話を聞いたり
小説にとどまらず、多くの創作表現方法を語られています
講義の中に出てくる人物も本当に多種多様…
ハムレットもあれば万葉集もあり
サトエリ(佐藤江梨子)もあれば写真家のウメカヨさんもあり
NANAもあってヒカルの碁もある
わたしはそんな北村薫さんに
「守・破・離」を感じたのです
この方は本当に「離」を極めた方だと…
そして「真・善・美」…
これは文芸作品とエンターテインメント小説の境界のあいまいな部分で
編集者の方が、この3つをすべて否定してしまったら
エンターテインメント小説として成り立たないという話の流れで出た言葉
…
わたしはひどく共感してしまいました
もともと講義を収録した本
本当は「勉強になりました」と言うべきなのでしょうが
わたしはとても面白く読み終わりました
レビューなど書くのはおこがましいのです
北村先生…
わたしは小説を書くには
まだまだ修行が足りないようです
起立!
礼!
ありがとうございました!
一級の指南書
小説の書き方について述べた本はたくさんあるが、技術論だけでなく、「書くこと」の精神性まで踏み込んだ本は、やはりとても面白く、読み応えがある。
本書の著者・北村薫氏は、本格ミステリ小説の作家として有名な人だが、この本を読んで、自分が書くジャンル外の作品にも造詣が深く、小説や芸術全般に対する深い理解を持っている作家だということがよくわかって、とても嬉しくなった。小説や物づくりに対する愛情が、びしびしと気持ちよく伝わってくる。
この本は、早稲田大学での小説講義をまとめたものだが、歌人の天野慶氏、新潮社と講談社のプロ編集者(佐藤誠一郎氏、唐木厚氏)と学生の対談も掲載されている。対談部分における学生からの質問内容は、具体的かつ現実的で、一般読者の視線として的確なものだ。それに対して回答する天野氏、各編集者氏の回答も、誠実で的を射たもので、各人の個性や目指しているものがわかって大変興味深い。日本の文芸事情や新人賞のことが、深い部分で見えてくる。
これらの内容が自然にこなせるようになったとき、その人は、プロ作家への一歩を確実に手にしているのだろう。そういう意味で、帯に書かれている宮部みゆき氏の「この本の面白さがわかる人は小説が書けます。」という言葉は、大変、含蓄のある言葉だと思う。
北村薫氏を、ますます好きになった一冊だった。




