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漢文のすすめ (新潮選書)

漢文のすすめ (新潮選書)
By 原田 種成

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  • Amazon.co.jp ランキング: #497534 / 本
  • 発売日: 1992-09
  • 版型: 単行本
  • 269 ページ

カスタマーレビュー

Mr.漢文の熱い思いが伝わってまいります。5
表紙に記されている著者の言葉をそのまま下に引用いたします。

「日本人の精神生活や倫理観を培ったものは『論語』『孟子』などの古典である。しかし戦後、漢文教育を軽視したため、日本人の倫理観が薄くなり、国語も乱れるようになった。昔の学者は漢文で論じ、漢詩によって心情を吐露した。私は漢文こそ真の日本の古典であると思う。漢文力が欠如していると思想や歴史の資料を正確に理解できず、間違った研究が横行する。今こそ漢文教育を復活振興する必要がある。」

著者は大正6年に小学校に入学します。第1章「半生記」を見ますと、著者をはじめとする当時の日本人の受けた教育というものがおおよそどういうものかを理解することができます。第2章「諸橋『大漢和辞典』編纂秘話」はまさしく「秘話」です。諸橋轍次博士の辞書編纂について果たした役割や当時の出版事情を知ることが出来ます。・・・

この本は、総括するなら、「Mr.漢文」と称することもできそうな著者の自伝のようなものだと思います。しかし単なる履歴を記した自伝ではなく、著者の生い立ち、漢学を志したいきさつ、学究としての生活、人との出会い等を通し、著者の国語教育や漢文への熱い思いが溢れ出ている書籍で、汲めども尽きぬ味わいに満ちた書籍であると私は思います。

圧巻は第4章「国語教育と漢字教育」の「国文学者の誤読」の部分でしょう。漢文の読解力の不足ゆえに、国文学者らが犯した菅原孝標に対する「冤罪」について、また、渡部崋山が死を前に詠んだ七言絶句の誤読とについて触れられています。(また、その正しい読み方についても記されています。)

漢字文化圏に住むものとして、また、そうした伝統に根ざして生きるものとしてぜひとも読んでおきたい書物の一つであると思います。