藤田嗣治 パリからの恋文
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商品の詳細
- Amazon.co.jp ランキング: #310096 / 本
- 発売日: 2006-03-23
- 版型: 単行本
- 320 ページ
エディターレビュー
内容(「BOOK」データベースより)
生誕120年、いまヴェールをぬぐ若き嗣治の愛と野心と芸術。1913年、渡仏したフジタが妻に宛てた幻の手紙を紹介しながら辿る、奔放な画家の生涯。
内容(「MARC」データベースより)
第一次世界大戦、エコール・ド・パリ、戦争画…。生誕120年、いまヴェールをぬぐ若き嗣治の愛と野心と芸術。1913年に渡仏したフジタが妻に宛てた幻の手紙をはじめ、新資料を使って描く奔放な画家の生涯。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
湯原 かの子
1971年、上智大学仏文学科卒業。大学院を経て、1984年にパリ4大学第三課程博士号、1999年に同大学新制度博士号を取得。淑徳大学教授。芸術家の評伝を専門とする(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
カスタマーレビュー
パリの兆児として持てはやされた藤田嗣治の生涯をたどる評伝
藤田嗣治は、世界で活躍した日本人画家の第1人者でしょう。本人が、戦後フランスに帰化しレオナール・フジタになったわけですから、コスモポリタンとも言えます。
本書は、芸術家の評伝を専門としている淑徳大学教授の湯原かの子氏による藤田嗣治の伝記です。幼少の頃のエピソードからスタートして、フランスで活躍し、日本に戦前帰国し、戦時中の軍への協力姿勢が、戦後に批判を浴びたことも詳細に書かれています。藤田嗣治の父親が軍医、それも中将格の高官だったという家柄も影響したのは間違いありません。
藤田への戦争責任論は、日本人の画家として西欧で一番認められたことに対する当時の画壇における嫉妬も相当あったと思われます。そのため、世界的な才能を持った画家が二度と日本の地を踏まなかったのは至極残念でなりません。
湯原かの子氏は、残された近親者との往復書簡や過去の伝記、その他の記録を丹念に追いかけ、それらの資料批判して従来の伝記の誤りを正しながら、丁寧でかつ読みやすい記述を心がけています。
藤田嗣治という人は相当器用な画家で、作風は年代毎にガラッと変ります。「乳白色の肌」と評された自分の作風を確立したエコール・ド・パリ時代も本書で丁寧に記されています。
評伝の最後にも記されていますが、晩年パリに戻って宗教画や子供をモティーフにしたあたりをもう少し詳細に書いていただくとまた違った藤田嗣治像が見えてきます。ポップアートの先駆けのような面白さを秘めた画風もまたレオナール・フジタの魅力ですので。
本書は美術史的な観点ではなく、人物史的な視点で取り上げられていますので、美術愛好家にとって少し物足りない点もありますが、人間藤田嗣治を知るには最適の本と言えるでしょう。
西欧への憧憬への論理的な到達点
何度か訪れたパリの市立現代美術館では、エコール・ド・パリのスーティンやモジリアー二の作品は展示されているにもかかわらず、一度も藤田の作品は見ることはできませんでした。その後何冊か藤田の伝記を読み、彼の曖昧なポジションについてのある程度の知識を得ることはできました。今回の新しい伝記は、従来のものとは違い、藤田の最初の妻との手紙をベースとした部分が目新しい部分となっています。戦争画の部分は、あくまでも常識的な範囲での、解釈にとどまっていますが、実体は、著者の論じている以上の意味はなかったのかもしれません。後半の部分は、特に藤田の戦後フランスでの生活と芸術の変貌について著者なりの解釈を呈示しています。この部分は、類書では、深い考察なしに、とばされてしまうことが多いのですが、カトリックへの改宗と宗教画への回帰を著者なりの解釈でまとめています。著者の最後の結論は、藤田の一生を、日本の西欧との格闘というひとつの形(299ページ)と位置づけるものです。与えられた時代の拘束の中で、その役割を演じきった藤田の姿は悲劇的でもあり喜劇的でもありますが、確かにそれは格闘というのが一番妥当なのかもしれません。



