閉鎖病棟―Closed Ward
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商品の詳細
- Amazon.co.jp ランキング: #451650 / 本
- 発売日: 1994-04
- 版型: 単行本
- 295 ページ
エディターレビュー
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著者は、テレビ局勤務ののち、九州大学医学部で学び、現在も現役の精神科医という異色の経歴を持った作家である。1979年のデビュー後、さまざまなジャンルで小説を発表し、1992年に日韓史の深部を描いた『三たびの海峡』で吉川英治文学新人賞を受賞。1995年に精神科医という自らの職業に深い関わりを持つ本書で山本周五郎賞を受賞した。
九州地方のとある精神病棟。患者たちは、それぞれに退院できない理由を抱えながらも、互いに助け合い、日々の瑣末な出来事に希望を見出しながら、明るく暮らそうとしていた。しかし、皆で回復をあたたかく見守ってきた通院患者の女学生に起きたある事件が、やがては殺人に発展してしまう。殺人を犯した者、それを知っていた者、彼らが守ろうとしたものは何だったのだろうか。
物語に挟みこまれる登場人物の過去のエピソードによって、入院患者たちは過酷な体験によって傷つき、日常生活が困難になった心弱き者たちであり、それぞれに複雑な人生を背負っていることがわかる。すべての登場人物に余計な感情を差し挟まない抑制の効いた文体の中から、時折、生きることに不器用な者たちへの著者の優しいまなざしが垣間見える。彼らが人生をかけて守ろうとした「何か」が明らかになるラストでは、厚い雲の間からさしこむ一条の光のような希望を見出せるはずだ。(取理 望)
内容(「BOOK」データベースより)
異常の烙印を捺され社会から肉親から隔絶されたまま流れ流れる果てしない時間が突如として破られた…。とある精神病棟。殺人事件。熱い血と熱い涙。感涙を誘う長編。
内容(「MARC」データベースより)
とある精神病棟、異常の烙印を捺され社会から切り離されたまま流れる果てしない時間が、ふとした事件によって破られる。心のさざ波の中でおこる殺人劇、熱い血と涙が感涙の結末を迎える長編小説。
カスタマーレビュー
読んで良かった
精神科病棟に入院している患者を、外部からではなく、入院している内部の患者の視点から描いた名作だと思います。入院患者とそうでない者(家族や世間)との間に横たわる気持ちのすれ違いが生み出す悲しみと、ラストに至って分かる人間の暖かさに号泣しました。殺人事件があるため、ミステリー小説とも受け取れますが、同じ病院もののロビン・クックの作品に見られるようなサスペンスフルな感じではなく、静かで暖かいストーリーです。本当に読んで良かったと思える数少ない小説として、いつまでも記憶に残ると思います。
誰が病んでいて、誰が病んでいないというのだろうか
それぞれの人生を、そしてそれぞれの心の病(と一般に呼ばれているもの)を背負いながらも、日々を淡々と暮らす病棟の人々の普通さ。一方、正常の顔をして病院の外で暮らしている人々に見え隠れする、心を失ってしまうということの異常さ。視点をほんの少しだけずらしてみることで見えてくる、普段は見えない世界。そういうものをこの作品を通して、フィクションとはいえ、垣間見たような気がする。何かにつけ人は無意識に、弱さや病を何かいけないもののようにして蓋をしてまいがちだが、それらは心の垣根を取り払い、心を結びつける。運命と呼ばれるものに負けない、逃げない、底知れぬ強さが、一人一人の登場人物の中にある。これら全てを、作者は丁寧に描いている。読後、上を向いて生きなければ、と勇気をもらったような気がした。
精神病棟の日常を優しく描いた作品
帚木さんの本はほとんど読みましたが,この「閉鎖病棟」は特に大事にしている一冊です。
社会からも家族からも疎まれながら生きている,精神薄弱者と呼ばれる人たちを,筆者が愛情を込めて描いている作品です。精神病患者にもそれぞれ個性があり,精神を病んでしまった理由や背景がある,という周りの人が忘れてしまいがちな部分を無理なく自然に読者に伝えてくれます。患者を取り巻く家族,医療従事者,そして患者同士に起こる日々の生活や些細な事件。ともすれば暗くなりがちな世界も,著者が優しい目で見つめながら描いているので読んでいて救われます。
帚木さんの作品は,色々な意味での「弱者」を描いているものが多いのですが,どれもわざとらしく美化したりせずにありのままの姿や出来事を整った!文体で書かれています。この「閉鎖病棟」も,淡々と語りながらも読者の心を打つ,素晴らしい作品です。




