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ありきたりの狂気の物語 (新潮文庫)

ありきたりの狂気の物語 (新潮文庫)
By チャールズ ブコウスキー

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  • 発売日: 1999-07
  • 版型: 文庫
  • 472 ページ

エディターレビュー

内容(「BOOK」データベースより)
強烈な露悪。マシンガンのようなB級小説の文体。アンダーグラウンドの一作家だったブコウスキーの小説は、世紀末の日本で、熱い支持者を得た。人も獣も入り乱れ、目もくらむ終結を迎える「狂った生きもの」、酔いどれの私がこともあろうに結婚式の付添人を務める「禅式結婚式」など、前作「町でいちばんの美女」を凌駕する過激な世界が詰め込まれた短編集。

内容(「MARC」データベースより)
ブコウスキー・ブームを呼んだ1994年刊「町でいちばんの美女」の姉妹編。路上をさまようクレイジーな男と女の"快楽"と"痛み"。その純粋すぎる愛と狂気を描く34編の短編集。*


カスタマーレビュー

ブコウスキーの最高傑作!5
~そもそもブコウスキー好きであるかどうかが、
評価を二分するとは思われるが~

自分的には、この短編集はブコウスキーの才能が凝縮された一つの集大成だと思う。

かなりバラエティー豊富な内容で、「狂った生きもの」はかなりトンだSFちっくな話だし、「日常のやりくり」は彼の持ち味の一つであるスラム街での一家のやり取りの話であり、「極悪人」は彼の自伝的要素が強い。

~禅式結婚式も自伝的要素が強いが(まあ彼の作品は自伝的なものが多いが)話の内容はかなり珍しい。彼の変わった友達の変わった結婚式だが、彼は精一杯やったはずだった。しかし最後はブタ箱で少年に尺八の交渉を持ち掛けられるという散々なものだった。彼が落ち着く家が好きで、外出嫌いなのも分る気がする。

~再会は退院して来た男のその彼女の性生活についての話であるが、この話だけは『間違いなく』日本人にケンかを売っている。まあ忘れよう・・。
(全作をプレビューしたいが、そういう訳にも行かないので、ここで結ぶと)

~この他にもこれでもか、というぐらい性に関して正直だったり、濃くて、ふっとんだ話や幻想的な話が続くが、個人的に一番お勧めなのは「毛布」である。これはしみじみと来る話である。内容は読んでからのお楽しみ・・・。

パワフルで、やがてものがなしい短編集。3
 この本は「町でいちばんの美女」と合わせて1冊だったそうだ。1冊だと読み疲れてしまうので分冊にされたのかな?放送禁止用語ガンガン使用のため、衆目の中では開きにくい本である。

 本作は「町で(以下略)」に比べて、起承転結がキチッとしたお話は少ない印象を受ける。主人公のアバウト酔いどれ度がやや増加しているような…。酔っ払いぐあいやぶっきらぼうな言動が「月と六ペンス/サマセット・モーム」に出てくる画家を彷彿とさせたりして。短編のモチーフはあい変わらず、刑務所服役囚の様子や獣姦乱交SF、父娘のほほえましい愛情や競馬予想、きちがいのお友達や肉体労働者生活、なぜか寄ってくるイヤなやつ、飲酒と詩人の微妙な関係など、多彩でムチャクチャな内容となっている。しかし、読!んで思うのは、どの短編も主人公の男性が困ったちゃんであること。超法規的思考で行動するし、イイ女と見ればヒワイな言葉を投げかけたり、やっちまおうとしたり…。現実にいたらお近づきになりたくないような人(女性の敵?)なのに、なぜか嫌悪感が少ないのは彼が、厚顔無恥で多数決の暴力主義の爛熟したどうしようもない社会からのアウトサイダーであり、著者を思わせる一連の主人公が凡人がうらやむべき天才であるからだろう。感性が鋭すぎるゆえに、酒でそれを鈍らせるしか生きていく術が無かったのではないか。心優しき人は病むしかない、世知辛い世界がやるせない。
 訳者のあとがきによれば、ブコウスキーの文体は日本語に訳しようがない言葉で書かれているとか。
(例)「うんちれ!」とか…。も!しも英語ができたなら、原文でも読んでみたい作家の一人である。

言葉の迫力4
ブコウスキーの作品は、簡単な、そして少ない語彙で創られている。
しかし、それらの言葉を執拗に繰り返すことで、読者に「これはノンフィクションか?」と思わせるほどの現実感(リアリティ)や恐怖感を与える。
このような彼の奇異な才能を十分堪能できる代表的な作品として、『ありきたりの狂気の物語』はおおいにお勧めである。