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ナナ (新潮文庫)

ナナ (新潮文庫)
By ゾラ

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  • 発売日: 2006-12
  • 版型: 文庫
  • 716 ページ

エディターレビュー

内容(「BOOK」データベースより)
名作『居酒屋』の女主人公の娘としてパリの労働者街に生れたナナ。生れながらの美貌に、成長するにしたがって豊満な肉体を加えた彼女は、全裸に近い姿で突然ヴァリエテ座の舞台に登場した。パリ社交界はこの淫蕩な“ヴィナス”の出現に圧倒される。高級娼婦でもあるナナは、近づく名士たちから巨額の金を巻きあげ、次々とその全生活を破滅させてゆく。自然主義作家ゾラの最大傑作。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
ゾラ
1840‐1902。フランスの小説家。パリ生れ。事務員・ジャーナリストを経て短編小説の執筆にとりかかり、出世作『テレーズ・ラカン』(1867)ののち、第二帝政下の一家族の歴史を描く連作を発表。その中に『居酒屋』(’77)『ナナ』(’80)『ジェルミナール』(’85)『大地』(’87)などがある。’98年ドレフュス事件に際し禁固刑判決を受け、一時英国に亡命した。不慮のガス中毒でパリで死去

川口 篤
1902‐1975。栃木市生れ。東京帝大仏文科卒。フランスの近代劇を専攻し、東京大学、学習院大学教授を歴任

古賀 照一
1919‐2006。詩人・仏文学者・評論家、宗左近のこと。『炎える母』で歴程賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


カスタマーレビュー

ファム・ファタール5
フランスの自然主義作家ゾラによる「ルーゴン・マッカール叢書」第9作。
「居酒屋」の洗濯女ジェルヴェーズの娘ナナを中心とし、それを取り巻く多くの人物による群像劇。

私がゾラを初めて手にしたのは「居酒屋」である。
登場人物たちのだらしなさ、情けなさ、そして救い難さが衝撃的であったため、
新潮文庫より発行されているもう一つの作品であり続編でもある作を手に取るのは自然のことに思えた。
「居酒屋」とは異なり、本作の舞台と凋落の対象は裕福層に絞られているが、救い難いという点では何ら変わりは無い。

高級娼婦ナナはその美貌と肉体を武器に、パリの男達をことごとく社会的に破綻させていくが、
中でもミュファ伯爵のその様が作品の大きな部分を占める。
この伯爵は王宮に出入りする侍従であり、本来誠実で信仰心の強い男であったが、
ナナとの出会いによってある意味「開眼」する。
そしてナナに起因する苦悩に苛まれるが、もはやナナ無くして物事を考えられず、
ナナに金を惜しまず贅の限りを許し、やがてジワジワと家庭ごと崩壊する。
しかし、描かれていない背景では他の男達も同じ苦悩に陥り破綻していることが伺える。
つまりミュファ伯爵は、そんな男達の代表としてピックアップされ、詳細に描かれたに過ぎない。
(その他の男達の零落ぶりについては終盤に怒涛の如くダイジェストに描かれている)

ファム・ファタールをテーマとした作品はいくらか読んできたが、本作のナナはその中でも群を抜く。
しかしそのナナにはどうやら悪気など一切なく、ただ無邪気に己を解放することによって、
意図せず周囲に毒を撒き散らすに過ぎない点に注視したい。
それほど男をとりこにするナナのような女を一度見てみたい気もするが、正直、出来れば出会いたくはない。