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ペスト (新潮文庫)

ペスト (新潮文庫)
By カミュ

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  • 発売日: 1969-10
  • 版型: 文庫
  • 476 ページ

エディターレビュー

内容(「BOOK」データベースより)
アルジェリアのオラン市で、ある朝、医師のリウーは鼠の死体をいくつか発見する。ついで原因不明の熱病者が続出、ペストの発生である。外部と遮断された孤立状態のなかで、必死に「悪」と闘う市民たちの姿を年代記風に淡々と描くことで、人間性を蝕む「不条理」と直面した時に示される人間の諸相や、過ぎ去ったばかりの対ナチス闘争での体験を寓意的に描き込み圧倒的共感を呼んだ長編。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
カミュ
1913‐1960。アルジェリア生れ。フランス人入植者の父が幼時に戦死、不自由な子供時代を送る。高等中学の師の影響で文学に目覚める。アルジェ大学卒業後、新聞記者となり、第2次大戦時は反戦記事を書き活躍。またアマチュア劇団の活動に情熱を注ぐ。1942年『異邦人』が絶賛され、『ペスト』『カリギュラ』等で地位を固めるが、’51年『反抗的人間』を巡りサルトルと論争し、次第に孤立。以後、持病の肺病と闘いつつ、『転落』等を発表。’57年ノーベル文学賞受賞。交通事故で死去

宮崎 嶺雄
1908‐1980。東京生れ。東京帝大心理学科中退。岸田国士に師事、バルザック、サンド、メリメ、カミュ等、多くの仏文学を翻訳紹介。’41年、フランス文学賞受賞。戦後創元社編集長を務めた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


カスタマーレビュー

圧倒的な死の病とともに閉鎖された町と、そこで生きる人々の生4
アルジェリアの港町オランにペストという、死病が発生する。その拡大を懸念し、市は町をを閉鎖する。逃げることの出来ない状況下で圧倒的な死を目にしての人々の行動を描く。冒頭のねずみの死の描写から、筆者は読者をぐいぐいと物語に引き込む。主人公の医者リウーの心の中の苦悩、人々が抱える別離の悲しみ、様々な人間の感情とともに、物語られる一つの町の話。
僕はまだ完全に理解はしていませんが、よい小説だと思います。

カミュの最高傑作5
生と死、善と悪、そして神の救済の意味を問うた長編。
かつて熱烈なキリスト教信者であったカミュは、
創作を通じて神の存在を問い続けた。

「ペスト」はカミュの作品中、もっとも大きな構想、長いストーリー、たくさんの登場人物を擁した傑作だ。
タルーを始めとする登場人物は、必死に思考し、行動する。
ペストが蔓延した街は封鎖され、ストーリーは一気に加速する。
最後はどうなるのか、惹き込まれる。
テーマはずしりと重いのだが、
「ペスト」は娯楽小説としてのクオリティーが素晴らしく高い。
アルジェリアの港町の描写がすばらしくエキゾチック。
このノーベル賞作家の作品中、もっとも大衆的でもあると思う。
そこが特筆すべき点なのだ。

ぜひご一読を。

終わりに神はない5
 ペストということばはこの作品においては三つほどの意味で使われている。
 1)病名であり、小説は表層的には、ペストという病原菌・極限状態に立ち向かうひとつの都市の人々が織り成す人間模様というストーリー構成をとる。
 2)世間一般の暗黙の常識。タルーが闘ってきた「死刑」というペストはこの意味である。死刑という制度を暗黙の領域として片付ける我々の思考がペストに冒されている。あるいはコタールにとってのペスト−−「孤独な、しかも孤独であることを欲しない一人の男をペストは一個の共謀者に仕立てた。なぜなら、明瞭にこれは一個の共謀者であるであり、しかも悦に入っている共謀者である」ということばも同じ意味になる。
 3)完全な悪、完全な死、無差別な悪、意志のない悪、不条理な人生を終わらせる悪=死。さまざまなことばで述べたが、P330「一見無用な悪」ということばが大仰でなく適切かもしれない。叫びながら死なざるを得なかった罪無き少年に象徴されるような死、それに何らかの意味を付与したいのなら、ペストを許容する神という存在をどうあっても受け入れ諦念するか(どんな悪も神の摂理であるというライプニッツの予定調和説)、神への信仰を捨てるか(遠藤周作が「沈黙」で取った結論だ)、という二者択一を迫るようなペストである。
 カミュにとって3)の問いが切実であったのは言うまでもない。岩を頂上まで運びながら、再び、岩が落ち頂上に運ばねばならない、そんな不条理な人生がどういう仕方で終わろうが、そこに神は関与しない、単に終わるだけだというメッセージがあくまで冷徹にペストによる死人を描写する文体から読み取れないだろうか?