かわいい女・犬を連れた奥さん (新潮文庫)
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商品の詳細
- Amazon.co.jp ランキング: #56228 / 本
- 発売日: 1970-11
- 版型: 文庫
- 285 ページ
エディターレビュー
内容(「BOOK」データベースより)
演出家の妻になると、夫と共に芝居について語り、材木商と結婚すれば会う人ごとに材木の話ばかり。獣医を恋人にもった魅力的なオーレンカは、恋人との別れと共に自分の意見までなくしてしまう。一人ぼっちになった彼女が見つけた最後の生きがいとは―。一人のかわいい女の姿を生き生きと描いた表題作など、作者が作家として最も円熟した晩年の中・短編7編を収録。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
チェーホフ
1860‐1904。南ロシアの港町タガンローグに生れる。16歳の時に家が破産し、モスクワ大学医学部に入ると同時に家計を支えるため、雑誌・新聞に短編や雑文を執筆。七年間で四百編以上の作品を発表して文名も高まったが、安易な名声に満足できず、本格的な文学を志向するようになる。人間観察に優れた短編の他、晩年には劇作に主力を注ぎ、演劇史に残る戯曲も多い
小笠原 豊樹
1932年北海道生れ。東京外国語大学ロシア語科中退。岩田宏名で詩人としても活躍。歴程賞を受賞している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
カスタマーレビュー
チェーホフ後期のアンソロジーです
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人間くさくてリアル
はじめてチェーホフの作品を読んだ。
ロシアについてはほとんど知らず、イメージしか判らないけれど、ロシアを感じる短編集。
どの話も人々が人間くさくてリアルで、短いけれど読み応えがある。
一番長い「谷間」は、残酷さが目について、とっつきにくいけれど、実は人生の幸福について考えさせられる。
ロシアの名前に慣れていなくて覚えにくかったけどどの話も良かった。
フランス菓子のようなロシア
集中の「往診中の出来事」は地方の工場経営者の家庭の内幕を往診した医師が覗く話。経済的に成功はしたものの文化的には貧弱で、デルデルデルという工場の機械の音に一日つきまとわれ精神的においつめられている。その結果できあがるのは粗悪な更紗で消費者も生産者も誰も幸せになっていない。ただオールドミスの家庭教師が満足してチキンカツを食べるためにここでのしんどい一日がまわっているかのようだ!という省察は悲惨なのだけれど皮肉な笑いの要素が入っているのも見るべきだと思う。コントの書き手でもあるチェーホフは松本人志と共通した鋭敏さがあるのではないか。
「犬を連れた奥さん」は上流階級の恋愛を扱ってとても洗練された作品。花の香りやロルネットやテーブルに置かれた西瓜や下着のレースといった道具立てが趣をつくりあげる。神西訳は名訳といわれるが、下着のレースを肌着としていてなんかばばシャツみたいだし、上品な喫茶店に入ってシロップやアイスクリームを食べるシーンを、そのへんの屋台かマクド(まだないけど)ででも買ってきたと読めてしまうような訳をしていて白ける。男性主人公のグーロフ述懐の語尾も現代では軽薄なおっさんくさくなっているものが使われ全くそぐわない。せっかくの趣が損なわれる気がする。古くなっていると思う。この新潮文庫がおすすめ。古い訳ではコントになってしまうとチェーホフも松本人志も思うのではないか。
ロシア文学は重たい感じがするがチェーホフは総じて軽みがありかつ皮肉で理想を語らず、おしゃれで、ロシアのフランス風菓子のような感じがする。新潮版にはチェーホフの顔写真も付けられているが、作品そのままの素敵で垢抜けした感じの人だ。表紙は前のほうがよかった。





