戦争と平和 (2) (新潮文庫)
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商品の詳細
- Amazon.co.jp ランキング: #101503 / 本
- 発売日: 2005-12
- 版型: 文庫
- 728 ページ
カスタマーレビュー
トルストイとフリー・メイソン
この、新潮文庫の『戦争と平和』第2巻は、1806年の初めに、ニコライ・ロストフが休暇で家に帰る場面から始まる。そして、ピエールとドーロホフの決闘、アンドレイ公爵が妻と死別する悲劇と、劇的な展開に突入する。『戦争と平和』全篇の中でも劇的な部分であるが、この第2巻で興味深いのは、ピエールが、フリー・メイソンの支部(ロッジ)を訪れる箇所である。(本書135〜167ページ)物語の中で、ピエールとドーロホフの決闘が、ピエールとフリー・メイソンの出会ひに先立ち、そして、その後、この決闘がもみ消される(167ページ)と言ふこの物語の展開は、興味深い物である。そして、フリー・メイソンの導師が、ピエールに、フリー・メイソンの思想である「死への愛」について語る場面は、極めて重要な箇所である。−−私は、この「死への愛」と言ふ思想は、『戦争と平和』のみならず、トルストイの死生観を理解する上で、重要な鍵であると考える。例えば、トルストイ晩年の短編『イワン・イリイチの死』を思ひ起こして欲しい。あの小説の最後に描かれる主人公の死の場面には、この「死への愛」と言ふ思想が、影響を与えて居ないだろうか?−−トルストイにとって、フリー・メイソンとは何であったのか?現時点では、私には分からないが、これは、『戦争と平和』を読む上で、決定的にに重要な視点であろう。
フリー・メイソンは、トーマス・マンの『魔の山』などでも大きなテーマと成って居る。難しい課題であるが、日本人は、『戦争と平和』や『魔の山』を、そう言ふ視点からも読むべきではないだろうか。
(西岡昌紀・内科医/9・11テロから5年目の日に)





