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大いなる遺産 (下巻) (新潮文庫)

大いなる遺産 (下巻) (新潮文庫)
By ディケンズ

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  • 発売日: 1951-10
  • 版型: 文庫
  • 450 ページ

カスタマーレビュー

読みごたえあり。5
イギリス小説の主人公は良い意味でどこかかわいげがない。低層階級から一歩ずつ階段の登る主人公を描く場合、日本の小説では、物語の終わりの幸福を夢見ながら手放しで応援したくなる不幸な主人公が描かれるが、イギリス小説ではなぜか「コイツかわいくないな」的なちょっとひねくれた主人公が、時にはパンクに時には滑稽に生きていく姿が描かれている事が多い。そんな主人公ピップが大富豪ミス・ハビィシャムとの出会いにより庶民のレールから外れ枢機な運命を辿っていく...そして意外な結末。目の前に開かれた道をなんのためらいもなく進んでいく主人公の姿は、この小説が書かれた19世紀よりもむしろ現代において共感を得られるだろう。

エッセイ集やスタイリッシュな現代小説にへきへきしている人にはぜひ腰を据えて水割りでも飲みながらじっくり読んで頂きたい一冊です。アラン・シリトー等が好みの方には特にお勧めです。

大いなる予定調和4
ディケンズの後期代表作。
大変面白く傑作だとは思うが、翻訳が古いのか読みづらい所があり、読み易い新訳が出るのを期待したい。
貧しい少年が莫大な遺産の相続を約束されるが、当初期待した通りにはならなかったものの、結果的にはそれ以上に良かったと思える教訓的な結末が用意されている。
他の登場人物たちも、幸福になるべき人は幸福になり、不幸になるべき人は不幸になり、死ぬべき人は死に、あまりにも都合良く進展しすぎると思わなくもない。
でも、百年以上前に書かれた古典という事でそれも良しとするべきか?

財産の影響力と、人間の態度の変化5
上巻からの伏線は下巻の中盤から一気呵成に絡み始め見事な最後を迎える。

私のお気に入りジョーの、主人公ピップに対する心情は思わずもらい泣きしてしまう。
一度見放された者の、変わらぬ愛情と、そんな彼でも「また見放される恐怖」におびえる心情を見事に表現していてディケンズの筆力に驚くばかり。

財産を持ったことの無い人間と、財産にまみれている人間の幸せは合致しないんだと教えられた気がします。

日々生活している中で感じる、表現しずらい感情の変化や高ぶりを見事に表現した素晴らしい作品。

翻訳が古く、一文が長すぎたり理解しづらい部分は多いです。
この妹尾河童さんの絵のような装丁は素敵ですね。