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リチャード三世 (新潮文庫)

リチャード三世 (新潮文庫)
By ウィリアム シェイクスピア

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  • 発売日: 1974-01
  • 版型: 文庫
  • 232 ページ

エディターレビュー

内容(「BOOK」データベースより)
身体に障害を負った野心家グロスター公リチャードは、兄のエドワード四世王が病に倒れると、王劇を狙い、その明晰な知能と冷徹な論理で、次つぎに残忍な陰謀をくわだて、ついに王位につく―。魔性の君主リチャードを中心に、薔薇戦争へといたるヨーク家の内紛をたどり、口を開いた人間性のおそろしい深淵に、劇詩人シェイクスピアが、真っ向からいどんだ傑作史劇である。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
シェイクスピア,ウィリアム
1564‐1616。ストラトフォード・オン・エイヴォンに生る。20歳頃出郷、初めロンドンで役者、後に座付作者として活躍。本編はじめ約37編の史劇・悲劇・喜劇を創作。詩作にも秀で、エリザベス朝ルネサンス文学の巨星となる。47歳で突如隠退、余生を故郷で送った

福田 恒存
1912‐1994。東京生れ。東大英文科卒。評論・翻訳・劇作・演出の各分野で精力的に活躍。芸術院会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


カスタマーレビュー

人殺し、それがリチャード三世。5
恐ろしい・・・・。主人公リチャード三世は自分が王になるために、つぎつぎと邪魔者を殺し、ついには王座につく。ところが最後には自分も殺される。

とにかく、あらゆる手で人をおとしめ、その命を奪っていく様はまさに最強の悪役。本当に悪いやつです。舞台では、ほとんど彼の一人舞台になり、ハムレットに並ぶ大役なのだそうです。

結局は、王座に誰が座るかという大人のイス取りゲーム。

悪党の魅力 5
リチャードはセムシでビッコである。もちろん、このように生まれついたことに彼の責任はない。だが、世間はそれを、まるで彼のせいであるかのようにみるし、彼自身後ろめたい思いを抱いたことがあったかもしれない。彼はいわばその誕生の時に不正を加えられた。だから、健康な奴らには許されない不正を犯しても、きっと自分には許されるはずだ。ーー悪党になってやる。それも、悪の限りを尽くして、きっと王冠を手に入れてみせる! 
シェイクスピアにあっては、悪党たちのスケールもデカイ。しかも魅力的だ。ーーでも、どうして悪はこんなに魅力的なのだろうか? そういえば、大人たちはしばしば、オレも昔はワルだった、と言いたがるーー。

「尺には尺を」の中に「美しい音楽は悪を善に変え/善を悪にかりたてる」という台詞がある。前半の「悪を善に変え」はいいとしても、「善を悪にかりたてる」というのはなんだろう? たとえばヒトラーのナチスとワーグナーの音楽の関係のようなことをさしているのだろうか? 

美はしばしば私たちをあざむく、と私たちは言う。でもそうではなくて、美そのものが危険なもので、その危うさにこそ魅力がある、としたらどうだろう? 美が私たちをあざむいているのではなく、私たちのほうがそのような危険を愛する、危険でないものに美を見出さない(見出せない)としたら?

悪を善に変え、善を悪にかりたてる美の魔法。ーー両刃の剣、の魅力。

政治的リアリズムを見事に描き出す5
シェークスピア作品のなかでも、権謀術数を基礎とした政治的リアリズムを最も見事に描き出した名作だと思います。多くの政治学の教科書を読むより、本書を一読することによって政治の生のメカニズムをより深く理解することができるでしょう。