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ジュリアス・シーザー (新潮文庫)

ジュリアス・シーザー (新潮文庫)
By シェイクスピア

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  • 発売日: 1968-03
  • 版型: 文庫
  • 218 ページ

カスタマーレビュー

プルータス お前もか4
 シーザーと言うと言いにくいので カエサルと言い直すことをまずご了承頂きたい。

 「ガリア戦記」と「内乱記」というカエサル自身の著作が読めることは 彼の死後 2000年以上を経た我々の 幸せである。カエサルの文章は あのキケロが絶賛しただけあって 実に簡潔で彫りが深い。21世紀に生きている我々が読んでいて 普通に面白いという点では 空前絶後ではないか。小林秀雄も 「ガリア戦記」という題で一編書き残したのも有名である。

 ということで カエサルはローマを支配するまでが「カエサルであった」と言って良い。その後 プルータスに暗殺されたのは エピローグに過ぎない気もしないでもない。

 それに対して シェイクスピアが注目し 劇としたのは 正しくそのエピソード部分である。有名な「プルータス お前もか」というカエサルの辞世の言葉と それに続く アントニーの褒め殺し演説が 本作の最大の見せ場である。これはもうシェイクスピアの興味の動き方がはっきり解るような気がして 実に面白い。

 極言すると シェイクスピアは別にカエサルを描き出そうとしているわけではない気がする。ある時代の英雄の死と それに伴う人々の移ろい易い心に興味があるだけではないかと思う。シェイクスピアにとっては カエサルは只の材料であり 真の主人公は いい加減な民衆達なのかもしれない。そんな気がしてならない。

 それにしても欧州の文化は誠にローマに負っている部分が大きいような気がする。これはこれで凄いことかと思う次第。 
 
 

現代に通じる政治劇4
シーザーは歴戦の勇者で、ブルータスは力でシーザーを倒す。そして最終的に力と力の争いの上にたったのがアントニーの演説。彼の有名な演説は計算しつくされていて、極めて巧妙。ペンは剣よりも強しというシェイクスピアの政治劇。

ローマ史の勉強の合間に読みましょう♪3
絶対的な名声と権力を手に入れたローマの英雄シーザー。
やがて彼が王になることに対し、危機感を募らせてきたブルータス一味がやむをえず暗殺を企て決行します。
しかし、運命の神々はシーザー派のアントニーに味方し、ブルータス一味を破滅に追いやることに・・・

ストーリーはすごく単純ですが、起承転結があって、場面転換がスピーディーなので、伝説的クーデターを一挙に目撃してきたかのような快感を味わえました。

なにより各人物が語る口調がすばらしいです。
面白かったのは、クーデター直後アントニーがカエサルの亡骸とともに民衆の前でする演説です。
「王冠を三度断ったシーザーは、公明正大の士ブルータスにたおされたのだ」と皮肉いっぱい。
ブルータスがあっという間に英雄から極悪人に変わってしまいます。

福田訳は古臭くありませんでした。巻末の解題もしっかりしています。プルタークの『英雄伝』を基に戯曲に仕立てているということなので、こっちも読んでみたくなります。

歴史を文学・娯楽作品にすることによって、生身の人間がどのような気持ちで過去に生きていたのだろうかと、豊かな見方ができるんだなあと考えたりしました。