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朗読者 (新潮文庫)

朗読者 (新潮文庫)
By ベルンハルト シュリンク

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商品の説明

Hailed for its coiled eroticism and the moral claims it makes upon the reader, this mesmerizing novel is a story of love and secrets, horror and compassion, unfolding against the haunted landscape of postwar Germany.

When he falls ill on his way home from school, fifteen-year-old Michael Berg is rescued by Hanna, a woman twice his age. In time she becomes his lover--then she inexplicably disappears. When Michael next sees her, he is a young law student, and she is on trial for a hideous crime. As he watches her refuse to defend her innocence, Michael gradually realizes that Hanna may be guarding a secret she considers more shameful than murder.


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  • Amazon.co.jp ランキング: #3741 / 本
  • 発売日: 2003-05
  • オリジナル言語: 日本語
  • 版型: 文庫
  • 258 ページ

エディターレビュー

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スイスで出版された原書を、キャロル・ブラウン・ジェンウェイが格調高い英語に翻訳。セックス、愛、朗読、戦後ドイツの不名誉についての、短くも豊かな物語。15歳の少年ミヒャエル・バーグは、謎めいた年上の女性ハンナとの激しい恋の虜になる。だが彼女の身の上についてはほとんど知らないうちに、ある日ハンナはミヒャエルの前から姿を消してしまう。…二度と彼女に会うことはないと思っていた彼だったが、戦慄(せんりつ)の再会が実現する。ナチスの過去を裁く法廷の被告席に、ハンナがいたのだ。彼女が筆舌に尽くせぬ重罪を犯していたことが明らかにされていく、その裁判の進行を追いつつ、ミヒャエルはとてつもなく大きな難問に取り組みはじめる。ホロコーストを知った自分たちの世代は、どう対処するべきか?「理解に苦しむものを理解できると思ってはいけないし、比較にならないものを比較してはいけない…。ぼくたちは、嫌悪と恥辱と罪の意識を抱えたまま、ただ黙っているべきなのだろうか?何のために?」
本書はボストン・ブックレビュー誌のフィスク・フィクション賞を獲得した。たぐいまれな明快な文章で、少ないページ数のなかで多くの悪の精神の問題に挑んでいる。世界がかつて知り得たなかで最悪といえる残虐行為に加担したのが親や祖父母、あるいは恋人であった場合、彼らを愛するという行為はどういったことなのか?文学を通しての贖罪(しょくざい)は可能か?シュリンクの文体は簡潔であり、比喩表現、会話といった文章の属性を問わず、余分なものはことごとくそぎ落とされている。その結果生まれたのが、ドイツの戦前と戦後の世代、有罪と無罪、言葉と沈黙の間に横たわる溝を浮き彫りにした、厳粛なまでに美しい本作なのである。

内容(「BOOK」データベースより)
15歳のぼくは、母親といってもおかしくないほど年上の女性と恋に落ちた。「なにか朗読してよ、坊や!」―ハンナは、なぜかいつも本を朗読して聞かせて欲しいと求める。人知れず逢瀬を重ねる二人。だが、ハンナは突然失踪してしまう。彼女の隠していた秘密とは何か。二人の愛に、終わったはずの戦争が影を落していた。現代ドイツ文学の旗手による、世界中を感動させた大ベストセラー。

内容(「MARC」データベースより)
15歳のミヒャエルが体験した初めての切ない恋。けれども21歳年上のハンナは、突然失踪してしまう。彼女が隠していた忌まわしい秘密とは…。出版後20言語に翻訳された世界的ベストセラーの日本版。〈ソフトカバー〉


カスタマーレビュー

透明感のある物語です5
青春の一幕だったはずの人が、時を経て再び自分の前に現れる。
知識も経験も積み、互いの状況も環境も変わっての再会は、昔、愛したという思いがあるだけに目をそらすことができず、かといって当時の恋愛感情のような激しい思いはなく、静かで冷ややかである。
当事者だった自分、傍観者となった自分、そしてその後、当事者にも傍観者にもなれず、居心地のよい距離をつかめずに過ぎていく時間。思いは立ち止まっても時間は立ち止まらない。
ナチスドイツのホロコースト(大量虐殺)が背景になってはいますが、私自身はそこにあまり重きを置いては読みませんでした。もちろん物語上はずせないテーマではありますが、それ自体よりも、そこから生まれた一人の人間の哀しい生き方、そしてそれをどう受け止めたらよいか分からず、自らも哀しみを抱えることになる人間の生き方、が焦点になっているように思います。

言葉にも涙にもならないような静かな哀しみで心がいっぱいになります。それでも誰かを愛したくなります。
何度も読みたくなる作品です。

父の助言にテーマが隠されている5
 黄疸にかかり学校帰りに通りで吐いていた自分に、「ほとんど乱暴といってもいい態度で」面倒を見てくれたところから、主人公とハンナの物語は始まる。
 1では二人の愛し合う様子がひたすら描かれている。年の差が20歳以上あることが、ここでは禁断の愛といった趣を与え、スキャンダラスな色彩を与えている。
 ところが2において物語は急展開を迎える。20歳以上の年の差は全く別のところで重要な意味をもってくるのだ。法学部の学生となった主人公は思いもよらぬ場所でハンナと再会する。
 その後、主人公が父に相談する件がある。「わたしは大人たちに対しても、他人がよいと思うことを自分自身がよいと思うことより上位に置くべき理由はまったく認めないね」と父は助言する。本書に貫かれたテーマは、何も戦争に向き合うことだけではないと思う。
 3では主人公のとった選択が綴られる。そして、最後にハンナのとった選択も明らかにされる。私にはこれ以外の選択肢を想像するすべはないし、また、主人公やハンナは違う行動をすべきだったというような批評は全く的外れなことだと思う。
 すべてに意味を持たせながら展開していくストーリーは圧巻である。訳者があとがきで、ジョージ・スタイナーが二度読むように勧めていることを紹介している。あまりにも劇的なストーリー展開に、私も小説の細部にわたる仕掛けや感情の機微を置き忘れて読んでしまった一人であると思う。

重い“問い掛け”を内包した小説4

 最近、映画化されたということで本書を再読し、併せて『ワルキューレ]』(DVD)も鑑賞した。この映画はトム・クルーズ演じるシュタウフェンベルク大佐などが1944年に企図したヒットラー暗殺計画等を描いた作品である。主人公のシュタウフェンベルク大佐は、正義感と知性に満ち溢れたドイツ貴族で、ヒットラーの指導する戦争に抵抗した英雄であるのだが、“時代の流れ”に抗う術などを持っていない、この小説に登場するハンナ・シュミッツのような女性を、わたしたちはどう受け止めるべきであろうか…。

 あまり詳しい筋立ては語れないけれども、文盲のハンナが戦争犯罪を裁く法廷で「わたしは…わたしが言いたいのは…あなただったら何をしましたか?」と裁判長に訊ねる場面がある。この問いに対して裁判長は「この世には、関わり合いになってはいけない事柄があり、命の危険がない限り、遠ざけておくべき事柄もあるのです」と答えたのだが、これは全くハンナの真摯な問いに対する解答とはなっていない。おそらく、ヒットラーの時代を経験した良識あるドイツ人には苦しい“問い掛け”となっているはずだ。

 本書の主人公ミヒャエル・ベルクと21歳年上の恋人ハンナに仮構したストーリー(クロニクル)は、決して「ある愛の詩」あるいはミヒャエルの「ヰタ・セクスアリス」といった性格のものではない。それは、哲学者カール・ヤスパースが指摘した「道徳上の罪」又は「形而上的な罪」の問題にも関わってくる重い“問い掛け”を内包している。このベルンハルト・シュリンクの『朗読者』は、まさにギュンター・グラスの『ブリキの太鼓』などと並んで、ドイツの“苦しみ”を代表する小説と言えよう。