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しゃぼん玉 (新潮文庫)

しゃぼん玉 (新潮文庫)
By 乃南 アサ

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  • 発売日: 2008-01-29
  • 版型: 文庫
  • 326 ページ

エディターレビュー

内容(「BOOK」データベースより)
女性や老人だけを狙った通り魔や強盗傷害を繰り返し、自暴自棄な逃避行を続けていた伊豆見翔人は、宮崎県の山深い村で、老婆と出会った。翔人を彼女の孫と勘違いした村人たちは、あれこれと世話を焼き、山仕事や祭りの準備にもかり出すようになった。卑劣な狂犬、翔人の自堕落で猛り狂った心を村人たちは優しく包み込むのだが…。涙なくしては読めない心理サスペンス感動の傑作。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
乃南 アサ
1960(昭和35)年、東京生れ。早稲田大学中退後、広告代理店勤務などを経て、作家活動に入る。’88年『幸福な朝食』が日本推理サスペンス大賞優秀作になる。’96(平成8)年『凍える牙』で直木賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


カスタマーレビュー

しゃぼん玉のような青年と共に迷い込む癒しの空間5
乃南アサは天才だと思う。小説はフィクションであるが、良い小説はさも本当にあったかのようなリアル感がある。舞台になる宮崎県椎葉村は実際に存在し、「平家祭り」や「ラリー選手権」なる行事も行われている。人口を4000人を切ったのは平成9年となっているのでこの物語はその頃の話なのだろう。そうした舞台設定がしっかりしている為に、登場人物ひとりひとりが生きており、椎葉村へ行けば本当に「おスマじょう」や「シゲ爺」がいるのではないかと錯覚してしまう。これは主人公青年の人間回帰の物語であるが「人生をやり直す為のけじめ」ということでは多くの人に共感が持てるテーマでもある。乃南アサの「音道シリーズ」のようなユーモア作品ではなく終始綱渡りをしているような緊迫感があるが、読後は喉越しのよい爽快感があり「読んで良かった」と思える一冊。読み終わった後に映画やドラマ化をするなら、俳優は誰が良いだろうと思わず思ってしまった。空○やホ○ム○ス中○生を映画化する予算があるなら、こうした実のある小説を映画化すれば世界にも十分打って出来られるのに!!…と強く思う。何はともあれ宮崎県椎葉村の平家祭りに行ってみたいものだ。東国原知事、映画化すれば宮崎県の宣伝になりますよ!!

展開が気になる。5
この小説の帯には・・・
「手元が狂ったのだろうか。今まで通り、軽く斬りつける程度で良いと思っていたのに。
何しろ、こちらの目的は相手のバッグだ。金だ。だから相手が怯み、ついでにいえば、
ちょっとした悲鳴でも上げてくれれば、それで十分のつもりだった。
背中越しに聞く女の悲鳴は良いものだ。ほんのわずかでも、キャッとか、イヤッとか、
そういう声を聞いただけで、頭の中がすうっとする。(本文より)」

オイオイ。かなり危険な主人公ではないかっっっ。
現実の世界にも、こういった主人公がいるのではないか、と思わせる世の中。
やはり更正の道はないのだろうか?
しかしそんな主人公を優しく包み込む出来事があって
涙なくしては読めない心理サスペンス感動の傑作!!
でた〜!!
ワタシの苦手な「涙なくしては読めない」という、うたい文句。
これに何度、だまされたことか。
しかし、この本は本当に心洗われる気持ちになりました。
先の展開が気になり2日間で読み終えてしまいました。

人生を生き直せるのか考えてしまう1冊。5
お金がなくなると軽い気持ちで女性や老人を殴り強盗をはたらいていた青年。
しかし、ある日、物盗りのためにナイフを使い、女性を刺してしまう。
殺人犯になってしまった!とおそれおののきつつも卑怯にも逃亡に及んで
彼がたどり着いたのは宮崎県の小さな村。疲れきって意識を失っているうちに
知らない老婆の家に運び込まれ、皆に老婆の孫だとカンチガイされ、
老婆とそのまま同居を始める彼は、次第に村に溶け込んでいく。

近所のおじいさんと山歩きをしたり村祭りの支度を手伝ううちに、
青年の中で何かが変わる。最初は「目立たない場所にいられて
ただでゴハンが食べられてラッキー」くらいにしか思っていなかったのが
まあ、簡単にいうと情がわいてきてしまい、愛や生命について
まともな価値観を取り戻していく…それは、自分の犯した罪の酷さを
改めて思い知ることにもなるのだった。
「老人や田舎」=やさしくて人を包み込むような感じ
「都会や若者」=空疎で愚かで投げやり
みたいなベタな土台の上にこういう話って好きじゃないはずなんだけど
作者の文章力と、青年が最初あまりにも愚かなので「この人何だよ!」と
怒りで逆に読まされてしまった。おばあさんと息子、父親と主人公、という
2組の親子関係のねじれてる感じがリアルに描かれているので、
ある意味ファンタジーっぽい設定なのに地に足がどっしりついていて
読後感もずっしり。同じ作者が描いた「火のみち」も、殺人犯が
出所後、刑務所の中で覚えた陶芸を手だてとして立ち直っていく
救済の物語。あわせてお薦め。