トラウマの国ニッポン (新潮文庫)
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商品の詳細
- Amazon.co.jp ランキング: #64078 / 本
- 発売日: 2009-03-28
- 版型: 文庫
- 308 ページ
エディターレビュー
内容(「BOOK」データベースより)
「本当の自分」て何?「トラウマセラピー」で懸命に自分のトラウマを探す人、「ユーモア学校」に入学して笑い方を学ぶ人、過激な「セックス本」に狂奔する女性、「田舎暮らし」や「資格」に夢中な人…教育、性、自分探しなど、今私たちの周りにある“問題”の現場を訪ね、平成ニッポンの奇妙な精神性を暴く。“世の常識”を見事に覆すヒデミネ流抱腹絶倒ルポ。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
高橋 秀実
1961(昭和36)年横浜市生まれ。東京外国語大学モンゴル語学科卒業。テレビ番組制作会社勤務を経て、ノンフィクション作家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
カスタマーレビュー
メディアは結局何も伝えていない
『からくり民主主義』と併せて読むことをおすすめします。
著者の視点はいつもシンプルで、明快です。
ふつうの人は、政治的立場や、大きな物語のなかで生きているのではありません。
それより、いまの生活を基盤にして損得を考えるし、マスコミが騒ぐ「何々反対」的な物語を、冷ややかな目でみていたりします。
一方でメディアのつくった流行に器用に乗ることができず、失敗してしまうトホホな面もあります。
そのように、「ふつうの人」は、常にマスコミの論調と微妙にずれたところで、真面目に、セコく、不器用に、生活しているものなのでしょう。
「トラウマ」「ゆとり教育」「資格ブーム」「地域通貨」など、それぞれマスコミで沸騰する論点とは全く違うところに、「ふつうの人」の真実があることを教えてくれます。
テレビも新聞も雑誌も、立場や意見を述べてはいますが、結局な真実は何も伝えていないということがよくわかります。
大変な時代なのか?
この作品読んでも、もう笑えないな。10年前に読んだとしたら、もちろん笑えないし、最後まで読むこともできなかったかもしれません。今は読めます。でも決して楽しい本ではありませんし、笑わせてくれることもありません。悲しいというかむなしいと言うか、その現代の日本人の姿が淡々と描かれています。大上段に構えたメディアのような胡散臭さはありません。そして教訓めいた批判もありません。でもどのストーリーも悲しい話です。トラウマがないのがトラウマという逆説的な状況は現代の日本が迷い込んだ袋小路の象徴です。朝の二度寝が楽しみという子供たちも皮肉な現実感が満載です。「せわしないスローライフ」なんてもうブラックユーモアの世界ですわ。三無主義の世代の著者は僕と同じですが、これほどの冷静な距離感は見事なものです。
大笑いの虎馬国ニッポン?
大いに笑える1冊であり、このテイストは他では味わえない著者独特のものだ。「ふつうの人になりたい」における子供への聞き取りでは、噴出しそうになってグッとこらえた。電車のなかだったので。
いまやたらと大の大人たちのうち勝ち組クラスの人たちが、「夢をもて」と若者や子供にうるさく言っているような気がする。しかし、子供たちの夢は思いっきりリアルである。将来の夢は、爺婆になってお茶を飲むことなのである。リアルだ。そうは出来ない可能性が高いからである。ここにはほとんど批評性があると感じたし、評者自身20年後に、安らかに和みながら、愚妻とともに老い、茶を飲んでいるとは到底思えない。生きることに困難が生じる可能性が極めて高いのである。そんな方向への悲観的な思いに捉われながらも、子供たちのリアルな視点には笑いつつ、大いに感心してしまった。
さらに表題となっている「トラウマ」についても、著者は自らの意見を押し出すことはないが、取材の事実を並べることで見事な批判になっていると思う。
他の諸編でも著者の筆致は正確であり、巧みだ。読む価値アリ!!!




