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自壊する帝国 (新潮文庫)

自壊する帝国 (新潮文庫)
By 佐藤 優

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  • 発売日: 2008-10-28
  • 版型: 文庫
  • 603 ページ

エディターレビュー

内容(「BOOK」データベースより)
ソ連邦末期、世界最大の版図を誇った巨大帝国は、空虚な迷宮と化していた。そしてゴルバチョフの「改革」は急速に国家を「自壊」へと導いていた。ソ連邦消滅という歴史のおおきな渦に身を投じた若き外交官は、そこで何を目撃したのか。大宅賞、新潮ドキュメント賞受賞の衝撃作に、一転大復活を遂げつつある新ロシアの真意と野望を炙り出す大部の新論考を加えた決定版。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
佐藤 優
1960(昭和35)年生れ。’85年、同志社大学大学院神学研究科修了の後、外務省入省。在英日本国大使館、ロシア連邦日本国大使館などを経て、’95(平成7)年から外務本省国際情報局分析第一課に勤務。2002年5月、背任と偽計業務妨害容疑で逮捕。’05年2月執行猶予付き有罪判決を受け、現在上告中。主な著書に『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて』(毎日出版文化賞特別賞)、『自壊する帝国』(新朝ドキュメント賞、大宅壮一ノンフィクション賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


カスタマーレビュー

日本言論界の「スーパーノヴァ」が放つ「ソ連崩壊」秘話5
 本書は、「国家の罠」で超新星のごとく日本言論界に降臨した佐藤優氏が、約一年後に著したものである。
 前著が、著者の「生みの親」であるところの、いわゆる「国策捜査」について、検事とのスリリングなやりとりを中心に書いたものであるのに対して、本作は、外交官だった著者が、「ソ連崩壊」前後に体験した生々しい現実とそれに対する考察を、交流のあった人物物語という視点で描いたもので、内容的には全く異なる。
 しかし、書籍としてのレベルは前作同様非常に高く、こちらも、一度読み出したらやめられなくなる。6百頁もある本だが、なぜか「大著」という感じがしない。
 ここら辺の、内容が非常に高度で密度が濃く、しかも量が多いのにも関わらず、読者の好奇心をつかんで最終ページまで放さない力量は、文筆家として、すさまじいものがあるとおもう。著者はほんとの意味での「知識人」なのだ、しかも、現代日本には珍しい。

 本文庫は、単行本に長い文庫版あとがき(116枚とのこと)を加えたもので、単行本を既に購入された向きには、ちょっと悔しいでしょうが、やはり買い直しが必要でしょう。

外務省にいた頃の著者4
著者が外務省に勤務していた時の自伝的な話で、ソビエト連邦が消え、ロシアとなっていく経過を捉えています。また外交官として「信頼」を大切にし、情報を入手分析していく姿は立派です。そんな素晴らしい外交官が国策捜査で逮捕されてしまうのは、出る杭は打たれるの典型ということでしょうか。
「文庫版あとがき」もたっぷりと加筆されています。2008年8月のグルジアへの侵攻についても、ロシアという国の考え方を解説しています。

時代に翻弄されていく個人、これは日本だけではないようだ4
ソ連崩壊がリアルに描かれている。しかも、客観的かつ日本人的な見方が鋭く、「日本」も、文化は違うが同じような徹を踏むことになるという予感すらある。
たしかに、前作の「国家の罠」も、逆のベクトルが働いていれば、いまごろ著者は勝者で、日ロ関係を含めて、日本は別の展開になっていたと予想される。あいにく、国策的にそうはならなかったが、同じような崩壊の道を歩んでいることは確かではないだろうか。
もちろん歴史に「たら、れば」はないが、ほんの微妙な展開によって動いていることがよくわかる。そしてそれに翻弄されながら生きている人間。そのときに必要なものが「思想」であり、それによって形成されている人格であるようだ。それがない奴が跋扈しないように、やはり矜持は大切だということを教えられた。