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善魂宿 (新潮文庫)

善魂宿 (新潮文庫)
By 坂東 真砂子

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  • 発売日: 2004-11
  • 版型: 文庫
  • 311 ページ

エディターレビュー

内容(「BOOK」データベースより)
天鏡峠につらなる山襞に建つ合掌造りの一軒家。かつては大家族が暮らしていたこの家に、いまは母と息子だけが暮している。道に迷った旅人たちは、一夜の宿と引き換えに里の話を語り出す。彼岸に日金山に行けばあの世にいる人に会えると、若き日の恋心抱いて登る老女。願掛けのために蛭を食う北前船主の人生を語る仏壇売り―因習の中でも力強く生きる男女の性を浮かび上がらせる連作長編。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
坂東 真砂子
高知県生れ。奈良女子大学住居学科卒業後、ミラノで建築とデザインを学ぶ。帰国後、児童小説を書き始め、四冊の童話を刊行。1993(平成5)年『死国』を発表。以降、『狗神』『虫』『桃色浄土』『蛇鏡』など、日本人の土俗的感性に密着した伝奇小説を相次いで発表する。’96年、『桜雨』で島清恋愛文学賞、翌年に『山妣』で直木賞、『曼荼羅道』で2002年の柴田錬三郎賞を受賞。’98年3月よりタヒチ在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


カスタマーレビュー

著者の想像力による大家族制度4
この作品の主な舞台は母と息子だけが住む合掌造りの家で、飛騨白川村がモデルになっている。かつて白川村の合掌造りの家には20~40人もの人が住み、独特の家族制度を形成していたのだが、それが消滅してから久しい現在、その成立過程や実態がどのようなものだったのかは、よくわからないそうである。その大家族制の実態と消滅過程を、著者が想像力を駆使して書き上げたのがこの作品である。その制度は現代を生きる人にとってとうてい受け入れることの出来ないものであるが、可能性としては十分あり得ると思う。ただし、この作品の半分は旅人によってもたらされた別の地の話で、それ自体がおもしろいことも確かだが、私はもっとこの大家族制に重心を置いて、その中から生まれた様々なドラマで厚みを付けた方が良かったと思う。よって☆は4つ。

宿=日本でしょう5
旅人たちは、平安時代の物語にでもでてくるようなグロテスクな(血の通った)話をしてくれた。

家族と使用人たちが何人も雑魚寝していた2階の部屋の隅で兄妹が交わるとき、家が消えていく。

生きている人間が誰もいなくなった家(故国)に戻って、囲炉裏端に座っていると、次々とよみがえる人たちの姿が見えてくる。

家族のあり方を考えさせられる5
 謎めいた山奥の、まだ年若い母とその息子だけが住む旧家。偶然そこを訪れた旅人たちが、親子に語った4篇の昔話。堺、越後、伊豆、加賀と、旅人たちの地元はさまざまです。
 やがて、かつて村に住んでいたという古老から、四つの屋敷を住まいとして、おおぜいの男女が原始共産制のような、そして母系の共同体をなしていた昔の村の姿が語られます。
 さらに、それに触発されたかのように、母が今にいたるまでの村の推移を話します。飛騨白川郷の合掌造りに住んでいた大家族が、たったの二人になってしまうまでの物悲しい話です。家族のあり方を問うような記述が印象深いです。