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狐笛のかなた (新潮文庫)

狐笛のかなた (新潮文庫)
By 上橋 菜穂子

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  • 発売日: 2006-11
  • 版型: 文庫
  • 392 ページ

エディターレビュー

内容(「BOOK」データベースより)
小夜は12歳。人の心が聞こえる“聞き耳”の力を亡き母から受け継いだ。ある日の夕暮れ、犬に追われる子狐を助けたが、狐はこの世と神の世の“あわい”に棲む霊狐・野火だった。隣り合う二つの国の争いに巻き込まれ、呪いを避けて森陰屋敷に閉じ込められている少年・小春丸をめぐり、小夜と野火の、孤独でけなげな愛が燃え上がる…愛のために身を捨てたとき、もう恐ろしいものは何もない。野間児童文芸賞受賞作。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
上橋 菜穂子
1962(昭和37)年東京生れ。川村学園女子大学助教授。オーストラリアの先住民族アボリジニを研究中。著書は、『狐笛のかなた』(野間児童文芸賞)の他に、『月の森に、カミよ眠れ』(日本児童文学者協会新人賞)、『精霊の守り人』(野間児童文芸新人賞、産経児童出版文化賞)、『闇の守り人』(日本児童文学者協会賞)、『夢の守り人』(路傍の石文学賞)、『神の守り人来訪編・帰還編』(小学館児童出版文化賞)、『虚空の旅人』などがある。2002(平成14)年巖谷小波文芸賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


カスタマーレビュー

伝奇とファンタジーの中間点5
 文庫版が出てから、買おう買おうと思って、書店で平積みされているのを眺めていたのだが、ある日思い出して書店に行ってみるとどこにも売っていない。伝奇・妖怪物は大好きなので、諦めきれず本屋を数件回ってみたがやはりなかった。あんなに沢山これ見よがしに積まれていたのに……とエラい人気なんだと感心してしまったのを覚えている。
 あらすじは他人の心の声を聞き取る能力『聞き耳』の能力を持つ少女、小夜と、隣国の呪者の使い魔、野火との恋物語。人間と魔物という従来は考えられないハードルと、野火の使い魔としての宿命、国同士の領地を巡る争いなど、幾重にも重なりあった構成はさすがは人気作家だと思う。情景の描写も鮮やかで細やかで、本の中の世界に無理無く入り込むことができる。交錯した人間関係の中で展開される簡単には予想の出来ない展開もまた大きな魅力だと思う。
 昔話などでよく語られる、妖怪と人間との婚姻譚をベースに、戦国チックな群雄割拠な世界観と、上橋氏の作り上げた術者の定めをからませた物語は傑作だと思った。
 こういった作品にあまり触れた事のない方にもお勧めしたい。

哀れな霊弧と、少女のけなげで、悲しい恋の物語5
上橋菜穂子先生の、守り人シリーズ、旅人シリーズにはまり、バルサとチャグムの冒険物語に引き込まれ、とうとうこの本にたどりつきました。感動しました。そして、最後には泣いてしまいました。
呪者に「使い魔」にされた霊弧は、支配され、汚い仕事に使われ、支配されたことで穢れ、2度と再び「かの世」にふれることはできない。哀れな霊弧は、この世とかの世の狭間たる「あわい」で暮らし、「あわい」で死んでゆく。主である呪者の命令に背けば、ただちに死が待っている。だから、霊弧の野火がいくら
人間の少女に恋焦がれても、遠くから見つめているしかなかった。哀れな霊弧と、人の思いを「聞く」霊力を生まれながらに持った少女、小夜の美しく、悲しい物語。
ファンタジーを読んで、今まで、泣いたことはなかったのに、最後に、ずたずたに切られていき絶えた霊弧の命を救うべく、自ら、「あわい」に身を投げる少女のけなげさと一途さに、目頭が熱くなりました。守り人シリーズで、ファンになりましたけど、この一冊を読んで、上橋菜穂子先生の小説がますます好きになりました。お勧めです。手にした方は、きっと、上橋先生の描く、不思議な世界に魅せられることでしょう。そう、私のように。

一途でけなげな愛5
本当に読んでよかった、と思える作品です。
主人公・小夜と霊狐・野火のお互いを思いやる気持ち。相手に見返りを求めないただひたすらに一途な愛。
現代のドロドロした暮らし辛い世の中で、忘れていたものを思い起こさせてくれるような素敵な物語です。

上橋さんの本は本当に文体が美しいんですね。
たとえば「満月の光がこうこうとすすきの原を照らしている。風がわたるたびに、すすきの穂が銀色の水のように波うっていく。」
美しくてどこか哀しい雰囲気を漂わせた表現。
まるで自分がその場にいたかのような懐かしさを感じるから不思議です。

終章「若桜野を」を読んで一気にこの本のファンになってしまいました。
たった4ページの短い章にたくさんの思いが詰め込まれています。

一生の宝物になりそうな本です。