天国はまだ遠く (新潮文庫)
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商品の詳細
- Amazon.co.jp ランキング: #69754 / 本
- 発売日: 2006-10
- 版型: 文庫
- 183 ページ
エディターレビュー
内容(「BOOK」データベースより)
仕事も人間関係もうまくいかず、毎日辛くて息が詰りそう。23歳の千鶴は、会社を辞めて死ぬつもりだった。辿り着いた山奥の民宿で、睡眠薬を飲むのだが、死に切れなかった。自殺を諦めた彼女は、民宿の田村さんの大雑把な優しさに癒されていく。大らかな村人や大自然に囲まれた充足した日々。だが、千鶴は気づいてしまう、自分の居場所がここにないことに。心にしみる清爽な旅立ちの物語。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
瀬尾 まいこ
1974(昭和49)年、大阪府生れ。大谷女子大学国文科卒。2001(平成13)年、「卵の緒」で坊っちゃん文学賞大賞を受賞し、翌年、単行本『卵の緒』で作家デビュー。’05年、『幸福な食卓』で吉川英治文学新人賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
カスタマーレビュー
日本海側の奥の方で、深呼吸する
自殺を決意し、日本海側の「奥の方」へと向かった23歳の女性が主人公。
(私自身が北陸出身なので実感できるが)どこか重く湿った空気が身体に纏わりつくような土地である。
しかしそこで彼女は、自分に纏わりついていた妙な縛りを、知らず知らず解いていく。
とにかく、そこに生きる人々の姿がいい。
彼女が自殺を試みたことに薄々感づいた民宿の主の無骨さは、
下手な声掛けよりも、ずっと世界を素敵に見せてくれるし、
他人を慮ってではなく気分次第で親切だったり、主人公の好意を無碍にしたりする
近所のあばあさんは実にキュートだ。
この土地の人々は、自分で自分を生きている。
それが押し付けがましくなくて、
読後、私も主人公同様に、どこか身軽になれた気がする。
するする流れるせせらぎのような
正直、ちょっと驚いたかもしれない。もちろん、結末にではない。
読んでいる途中でラストまでばっちり予測できてしまう。
おそらく誰でも予測できてしまうだろう。所謂あっと驚くような
展開はないのである。だがきっと、これはこれでいいのだ。
疑似体験ができる小説なんだろうなと思う・・・たぶん。
少なくとも私はできた。主人公の体験を通して安らぎを得ることができた。
そしてラストで「明日からまたなんとかやっていけるさ」ってな
気分になれた。断っておくが別に陰鬱な気分だったわけではない。
冒頭の、主人公が仕事の悩みで思いつめてるシーンなんて
なかなかリアルである。こんなことは誰でも経験があるんじゃないだろうか?
それが自殺の決意まで行くかどうかは別にして。
この主人公の悩みに共感できるから、読者は主人公と自分を
重ねることができる。そして主人公の小さな冒険へダイブ。
こういった類の小説に「あっと驚くような展開」はたぶん無用で、
読者が望む予想通りの安らぎを与えることこそが必要なんだろう。
薄い本で本当にするっと読めてしまう。でも、薄いからするっと
読めるわけではない。文章が素直な感じ。あっと驚かせるものでも
奇をてらったものでもしかつめらしくもなく、ただ流れるような素直な文章だと思う。
そしてそのするすると流れるような文章が、美しい景色の描写や、
登場人物の飾らない優しさに不思議とマッチするのだ。
だから物語にするっと溶け込めて、主人公に共感できて、
ラストでも素直に良かったねと思えるのだ。
和やかな気持ちにしてくれる本
作者自身の丹後での教員生活を基に書かれた作品だそうですが、実に優しく、目に見えるようです。
自殺をするために丹後に辿りついた23歳の女性が主人公です。彼女は、都会での生活に疲れ、死ぬためにやってきます。でも、大自然に包まれて、次第に「死」から遠のいてゆきます。この彼女が癒されてゆく過程が、優しく、美しく描かれてゆきます。海が、星が、緑が、彼女の疲れた心を癒してくれます。
この作者の柔らかなタッチの文章が、読む側まで和やかな気持ちにしてくれます。毎日のあくせくした人生が嫌になってしまうような、そんな本です。





