朱夏 (新潮文庫)
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商品の詳細
- Amazon.co.jp ランキング: #136249 / 本
- 発売日: 1998-11
- 版型: 文庫
- 629 ページ
エディターレビュー
内容(「BOOK」データベースより)
果してまだ、日本はあるのか…?同郷の土佐から入植した開拓団の子弟教育にあたる夫、生後まもない娘と共に、満州へ渡った綾子は十八歳。わずか数カ月後、この地で敗戦を迎えることになろうとは。昨日までの人間観・価値観はもろくも崩れ去り、一瞬にして暗転する運命、しのび寄る厳寒。苛酷無比、めくるめく五百三十日を熟成の筆で再現、『櫂』『春燈』と連山を組む宮尾文学の最高峰。
カスタマーレビュー
満州で生き抜くことの壮絶さ。
「朱夏」は宮尾登美子氏の、「櫂」「春燈」に続く自伝的小説の3作目。
18歳で田舎の教師と結婚し1女もうけ、そして男達は野望と、金銭面、そして
戦争からの逃げとし、開拓民とともにその子どもらの学校を設立する・・・
という目的で満州に渡る。
が、満州の生活にお嬢様育ちの綾子が耐え切れるはずなく我がままほうだい
だったが、終戦・・・襲ってくる挑戦民、難民キャンプで『野良犬以下』の
生活を強いられ、次第にたくましくなってくる綾子に目を見張るものの、
相変わらずの《お嬢さん》に、読み手としてはイライラしてくる場面もある。
しかし、戦後満州から引き上げてくる形を小説として読みやすく
まとめてあり・・・終戦後の大陸移住日本人について、初心者からわかりやすく
読み進められる。
生きる力
この作品に出会って人生の見方が変わったと言っても、過言でない一冊です。冬は暖かく、夏は涼しく快適に過ごすことに知恵を絞る現代社会がいかに豊かで人間を弱くしているか、つい50年ほど前の日本人がどんなに強かったかを知り、遅ればせながら日々大切に過ごしたいと思いました。
「満州」に向き合う迫真のリアリズム
満州における敗戦前後、530日余の凝集された出来事を本書にたどると多くのことが脳裏に去来する。満州での日本人の生活はどんなだったか 敗戦前後でどう変わったか?人間は、過酷な境遇にどう耐えたか、耐えられなかったか?人間は、植民者としての行動や極限状況の行動をどのように意義付けて平安に生き続けようとしたか?地位、職業、欲望とはそれぞれ何か?植民者としての民衆は、植民地でどう行動したか?中国人は終戦を挟んでどう行動したか?そして、結局、満州とは何だったのか?
答の一部は事実描写と主人公綾子の考えと取り巻く人々の言動で示され、いくつかは暗示でとどめられる。著者の経験に基づく、迫真のリアリズムである。
子の世代が親の世代より前進するには、親爺の背中やおふくろの味、親たちの成功と失敗など、親たちの世代と向き合ってそれを超えようとするのがもっとも確実な道ではなかろうか。現代の若者たちが、父母や祖父母の世代のことをしっかり理解し継承することは、これからの時代をより良いものにするためにとても大切なことだと思う。宮尾さんは、そのような理解を得る格好の事実を自らの経験の中から紡ぎ出して文学に結晶させてくれた。





