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葬送〈第1部(下)〉 (新潮文庫)

葬送〈第1部(下)〉 (新潮文庫)
By 平野 啓一郎

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  • 発売日: 2005-07
  • 版型: 文庫
  • 364 ページ

エディターレビュー

内容(「BOOK」データベースより)
彫刻家クレザンジェは、ソランジュに求婚し、その母サンドはこれを了承した。病床にあったショパンは、ドラクロワとともに深い危惧を抱く。その彫刻家の軽佻・利己・浪費といった性行を知っていたからだ。事実、彼は二十万フランもの不動産を持参金という名目で略取しようとしていた。そして…。荘重な文体が織りなす人間の愛憎、芸術的思念、そして哲学的思索。感動の第一部完結編。


カスタマーレビュー

ドラクロワの絵を見たくなる小説4
 第一部のクライマックスは、ドラクロワが壁画を完成させて見渡すところである。この場面の作者の筆致は細密かつ重厚であり、読者に絵画についての興味を引き起こさせる。それにしても、ショパンとドラクロワの会話は繊細で上品、そして二人の苦悩を感じさせて心地よい。

上巻よりはとっつき易いかも4
ここまで読んでいて気付いたのですが、オテルとかリセとかいう語が何の解説も無く使われていますね。もちろん解説など入れたら興醒めしてしまうからなのでしょうが、ならば最低限のフランス語の知識が無ければ、前後の脈絡からも意味が分からないと思います。こういう部分も、本書を難解にしている要因の一つなのでしょう。

本書前半では、クレザンジェの暗躍が描かれています。そりゃ、悪役の活躍も描く必要はあるのでしょうが、読者はショパンやドラクロワを見たいのであって、延々とクレザンジェのシーンが続くのはさすがに疲れました。
元々、単行本で第1部、第2部の2冊で発行されていたのを文庫化にあたり4冊に分けたという構造上仕方のないことなのでしょうが。

前巻では小難しい芸術論が長く続いていたのですが、本巻『葬送 (第1部下)』では出来事によって物語が動きます。クレザンジェとソランジュの結婚問題です。
それぞれの思惑が絡み合った結婚劇の顛末は、ショパンとサンド夫人の関係にも大きな影響を与えることとなります。

内容からいって、暗澹たる気分になってしまうかもしれませんが、最後にはドラクロワが大作を完成させる場面があります。その時の芸術家の達成感を壮大に描写して、第1部を閉じています。

サンド夫人との距離が開いていく4
他のレビューに付け加えるとすれば、9年間以上続いていたショパンとサンド夫人の関係が、家族問題を中心にして次第に離れていくさまが描写されていて興味ぶかい。作者は人びとの心理の錯綜を二重三重に描いてみせている。ジョルジュ・サンドという人の考えや生活もわかる。当時のパリを中心としたフランス社会の上流生活や亡命者の様子もショパンとその友人関係をとおして少しわかる。ドラクロワとショパンの関係はこの巻ではそれほどでてこないが、あたたかい人間関係として描かれている。クレザンジュという彫刻家の芸術評価についてもしりたいものだが、、、