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銃 (新潮文庫)

銃 (新潮文庫)
By 中村 文則

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  • 発売日: 2006-05
  • 版型: 文庫
  • 196 ページ

エディターレビュー

内容(「BOOK」データベースより)
昨日、私は拳銃を拾った。これ程美しいものを、他に知らない―。ある夜、死体の傍らに落ちていた拳銃。それを偶然手にした私は、次第にその“死と直結した機械”に魅せられていく。救いのない孤独と緊張。膨らみを続ける残酷な妄想。そしてその先には、驚愕の結末が待っていた…。非日常の闇へと嵌まり込んだ青年の心の軌跡を、確かな筆力で描く。若き芥川賞作家、堂々のデビュー作。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
中村 文則
1977(昭和52)年、愛知県生れ。福島大学行政社会学部卒業。2002(平成14)年、「銃」で新潮新人賞受賞。同作は芥川賞候補にもなった。’04年、「遮光」で野間文芸新人賞受賞。’05年、「土の中の子供」で芥川賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


カスタマーレビュー

これ程ゆがんだ明るさをもった小説を、私は他に知らない。5
「暗い」とか「重い」とか語られがちな作家だが、ちょっと違うような気がする。この人の小説は最近読み始めて、すごく共感するところがあるので全部読み、最後にこの文庫化された『銃』を手にとった。やはり「暗い」とか「重い」とかではこの人の小説の魅力は語れないような気がする。
そのギャップをポーカーフェイスでたんたんと描いているように思える著者の姿勢に、つまりこの小説の「作風」に、そこはかとない明るさを読み取れるのだ。確かに表面的には「暗い」し「思い」。彼のカミュ風の古色蒼然とした文体もその理由の一つだろう。カビくさく感じることもある。けれど、その表面を書きながら、というより何かに書かされながら、その文章の展開に、にんまり、としていそうな小説の裏にある顔、その顔の存在に気づくと、この小説には他の誰も進まない方向に突き抜けたような明るさがあることを実感できるはずだ。

体の一部が暴発する。4
主人公の大学生は、ある日、偶然、銃を手に入れる。
銃を手に入れる前の情景描写は、ほとんどが暗闇、雨といったネガティブなもので、彼の行動も頼りなく、ボウフラのよう。

銃を手に入れると、とたんに生き生きとしだす主人公と、周囲の光景。
もしかしたら物語はポジティブな方向へ動いていくのかな、と思いきや・・・。

無関心で、どこか優柔不断な「私」の隠された衝動が、胸の中から腕、そして手、指先を伝って、銃身からほとばしるように具現化され、排泄される過程が描かれています。
とても恐ろしい結末に、結構ショックを受けました。

狂おしい5
「絶望的なものを把握しようとすることはそれだけで希望につながる。」小説である。私はしばらくBUCKのナイフを上等なホルダーに入れ携帯していた。しかし私の生来の凶暴性の側面を思うといつかこれを使ってしまう恐怖にかられこの携帯をやめた。すなわち、この時点では「絶望。」を逃れたわけである。しかし、この極端を逃れたものの相も変わらず生きることはかったるく、この小説家の小説を読んで自分が堕ちる可能性の「絶望。」にはまだ私は立たされててはいない、在りもしない希望を感じようとする。