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百 (新潮文庫)

百 (新潮文庫)
By 色川 武大

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  • 発売日: 1990-01
  • 版型: 文庫
  • 261 ページ

エディターレビュー

内容(「BOOK」データベースより)
「おやじ、死なないでくれ―、と私は念じた。彼のためでなく私のために。父親が死んだら、まちがいの集積であった私の過去がその色で決定してしまような気がする」百歳を前にして老耄のはじまった元軍人の父親と、無頼の日々を過してきた私との異様な親子関係を描いて、人生の凄味を感じさせる純文学遺作集。川端康成文学賞受賞の名作「百」ほか三編を収録する。


カスタマーレビュー

買ってよかった!読んでよかった!5
近所の本屋さんでさりげなく平積みにされており、思わず手に取って買ってしまったのですが、買ってよかった、読んでよかったです。何が良かったかって、文章がとりわけ良かったです。

「流れる」というのでは決してないけど読みやすく、硬派で確かな感じのする文体です。

家族についての短編が4つ入っているのですが、その家族の面々を描く作者の目と距離感が絶妙です。家族を構成する父親、母親、弟。彼等がどんなルールにつき動かされて生を営んでいるかということを筆者はまず捉えた上で彼等と対していくのですが、それが冷静でいて決して冷たくはなく、あるがままに受け入れているようで、そうでもなく、やはりどこか第三者的で…といった具合に絶妙なのです。ラスト一編、ますます老いる父親を描くところは凄みさえあります。

長年、個性的すぎる親に頭を抑えられてきたと思っている方や、自分の親の老いをみて何だか寂しくなり、親の老いを受け入れがたく思っている方、そろそろ親の面倒をみなくちゃな…と思いはじめた方や親の介護をはじめた方などが読むとかなりぐっとくると思います。

5
阿佐田哲也のペンネームによる麻雀小説はあまりにも有名だが、筆者の人生観、家族愛を堪能するならばこの短編集は最高の一冊だ。軍人くずれの厳格な父親と戦後を生き抜くためにアウトローな人生を選んだ主人公のこころのやりとりには、すっかりひきこまれて一気に読み終えてしまった。

薦められて読んだ作品5
最近、読書から遠のいて暮らしていた。友人の紹介と作者の生き様に興味を持って購入した。老いていく激しい性格で長寿の父親、とりまく家族と作者との関係が興味深かった。最近は認知症の相手との付き合い方は広く知られているが、この作品が書かれた頃は対応する病院も情報もなかったに違いない。バラバラで一見、勝手気ままに暮らしているようにみえる家族の絆が感じ取られて、人間っていいなぁと思わせてくれた作品でした。他者の推薦本にも耳を傾けてみようと思わせてくれました。