沼地のある森を抜けて (新潮文庫)
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商品の詳細
- Amazon.co.jp ランキング: #93576 / 本
- 発売日: 2008-11-27
- 版型: 文庫
- 523 ページ
エディターレビュー
内容(「BOOK」データベースより)
はじまりは、「ぬかどこ」だった。先祖伝来のぬか床が、うめくのだ―「ぬかどこ」に由来する奇妙な出来事に導かれ、久美は故郷の島、森の沼地へと進み入る。そこで何が起きたのか。濃厚な緑の気息。厚い苔に覆われ寄生植物が繁茂する生命みなぎる森。久美が感じた命の秘密とは。光のように生まれ来る、すべての命に仕込まれた可能性への夢。連綿と続く命の繋がりを伝える長編小説。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
梨木 香歩
1959(昭和34)年生れ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
カスタマーレビュー
恐ろしいほどの命の連鎖
「先祖伝来のぬか床」から始まる物語は、
「いのちの繋がり」を素晴らしく、恐ろしく描いている。
梨木香歩独特の世界観ではあるけれども、
これまで読んだどんな作品より、作品そのものに重みがある。
間に挟まれる「かつて風に靡く白銀の草原があったシマの話」
で、少しずつ気分を変えて読んでいかないと、吐きそうになるほど。
自分にのしかかる、これまで何代・何十代もの命たち
これを呪縛と捉えるか、進化と捉えるか・・・
物語は、明るく終わっているが、
読み終えた後、まだなんとなく、重みを感じ続けてしまう。
すごいパワーで書かれた作品なんだろうなと思う。
味わい深いラストシーン
『家守綺譚』以来、彼女の小説は好きで読んでいるが、この小説も不思議な幻想小説。
ぬか床から人が出てくるっていう設定も不思議で面白いけど、彼女の文体がまた、不思議。知らず知らず、ストーリーに引き込まれていく。
ラストシーンも味わい深い。男女の性、人間って何だろう、なんてことを考えさせられる。
ボケのSF化
先祖代々伝わるぬかどこから、
人が生まれる。
という嘘を中心に描かれた話。
このお話は前半の主人公の女性が面白い。
この女性は、
ぬかどこから人が生まれた。
というボケに対して、実際的に付き合っていくのだ。
はいはい、しょうがないな。
といった具合に。
ときに、そのボケに対して、
おもしろいじゃないの。
といった具合に反応したりもする。
こんな感じが、読んでいて面白い。
しかし残念なのは後半だ。
だんだんと。
ぬかどこから人が生まれる、
というボケがボケではなくなり、
普通になっていくのだ。
ボケのSF化が進行するのである。
そもそもの最初から、
これはSF小説なんだ、という前提で読んでいれば
楽しめるのかもしれないが、
ぬかどこから人が生まれる、
という設定をSFにするには
ちょっとムリがあると僕は思うのだ。
これはボケではないかもしれないが、
「リング」というホラー小説のボケが
「らせん」という続きでボケに解説を
つけてしまって、白けてしまったのと
同じような感じだ。
あれは何かようわからんけど
テレビとか井戸から髪の長い女性が
出てくる、ということが怖いのであって、
そこを解説できてしまったら
怖さは半減するのだ。
あぁやっぱり出てきたね。
そりゃ出てくるよ。
ってなったら、そこまで怖くはない。
僕にとっては、
ぬかどこのボケもこれと同じである。
ボケはボケだとわかっているから、
笑えるのであって、それがボケではなく、
普通になった瞬間から、笑えなくなるものだ、
と僕なんかは思うので、後半になって、
これはしまったと思ったのだった。
ボケはボケのままがいい。
そう思った小説だった。





