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橋ものがたり (新潮文庫)

橋ものがたり (新潮文庫)
By 藤沢 周平

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  • 発売日: 1983-01
  • 版型: 文庫
  • 389 ページ

カスタマーレビュー

明日からは少しだけ、生きやすい。5
 藤沢周平氏の作品は剣の達人である侍が活躍するものが多いようですが、この短編集「橋ものがたり」は、一話一話が100万人もの江戸町人の誰かの物語です。普通のひとの物語です。

 誰だって、愛しさや期待や喜びに酔い痴れることがあるし、誰だって、敵意や激情や嫉妬が突き上げることがあるものです。そうした誰にでも覚えのある、たくさんの感情が丁寧に描かれています。

 実際、ひとびとの暮らしがそうであるように、物語は必ずしもハッピーエンドではありません。それでも、江戸の町の、今よりも少しゆっくりした時間の中で演じられるこれらの物語は、どれもふうわりと優しさに包まれています。劇中の全ての人物が許されているのです。

 読み終わると、「それでいいんだよ、きっと」と登場!人!!物たちの肩を叩いてあげたくなります。同時に、自身の日常についても「それでいいんだよ」と認めてもらえた気持ちになります。
 明日からは少しだけ生きやすくなる、そういう作品です。

心の交差点でなにを思う?4
江戸の町に架かるいくつかの橋を舞台にした、恋愛短編集。あたりまえだけど、ケータイもメールももちろん登場しない。登場人物たちは、人と出会った瞬間に恋に落ち、恋を理解する。それが当たり前のように。駆け引きも策略もそこにはない。あるのは恋する気持ちだけ。

今の私たちは、懐疑的でこんなふうにすぐには心を開けない。果たす義務が多すぎてこんなふうに恋愛だけに生きることも難しい。だけど、純粋なまっすぐな気持ちを持ち続けることが間違ってないって教えてくれます。

心に残ったのは『殺すな』。いつの時代も別れはせつなくて無慈悲。その道理を身をもって伝えようとする善左エ門。ラストで善左エ門の目に溢れる涙が、彼に課せられた重すぎる枷を解いたしるしのような気がして、とてもうれしいのです。

珠玉の短編集♪5
橋にまつわる10編からなる短編集ですが、とっても切ない恋愛模様が描かれてます。
当時の橋は今みたいに鉄道がなかったので人々にとって重要な役割をはたしていたのが覗えます。現代の駅みたいな役割を果たしてる感じですね。

とにかく出会いや別れを情感溢れるタッチで紡いでおります。

どの話も本当に良く出来ており苦しみ悩みつつも情熱を持って生きている姿が胸を打つ。
そんなに展開的に無理はないし、時代物であるだけにあざとさも感じられない。
特にセリフが自然体で受け入れやすかったですね。

読み終えて、生きて行く上で大切なのは結果より過程であるということを教えてくれてるように思えました。

橋の向こうは違った生活が営まれてる点が作品全体を支えてるような気がして、思わずそれぞれの橋を東京に行って散策したい衝動に駆られますよ。

多作な作家さんなので1冊だけでは判断できないと思いますが、文体的にはしっとりしていて乙川さんよりは読みやすそうです。

早く読みすぎてもったいなかったかなあ。また再読しますね(笑)

特に良かった短編・・・「約束」「思い違い」「赤い夕日」
ただし10編ともハズレなしです。

無性に人がいとおしくなる1冊です。