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千利休とその妻たち〈上〉 (新潮文庫)

千利休とその妻たち〈上〉 (新潮文庫)
By 三浦 綾子

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  • 発売日: 1988-03
  • 版型: 文庫
  • 290 ページ

エディターレビュー

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  魚屋(ととや)千家の当代、千利休(宗易)は堺商人の中で茶の達人として知られていた。しかし武家に生まれた妻お稲は、茶道をたしなむ夫を軽蔑していた。そんななか、利休は人妻おりきに心惹かれてゆく。時は戦国大名から天下統一への波乱の時代、おりきとの運命的な出会いは、その茶道にも深い影響を及ぼすのだった。

  利休の名から茶道を連想するのはたやすい。しかし本書は後に「茶聖」と呼ばれた利休の茶人生だけでなく、一個人としての人生、さらには時代背景である戦国大名から豊臣政権、それに対抗する堺町人らを生き生きとつづっている。また、いかに茶の湯が権力を支える文化として発展したかも記され、千利休を通して日本史を知るおもしろみがある。

  著者は利休を歴史上の大人物でなく若干28歳の商人、夫、男、茶人として描き、読者に新たな「千利休像」を提供した。人妻おりきのキリシタン信仰が、茶頭にまでなった利休に多大な影響を与えるところに著者の信仰要素が盛り込まれた作品。(青山浩子)

内容(「BOOK」データベースより)
堺の豪商千宗易は茶の湯の達人として知られていた。その妻お稲は、武将三好長慶の妹であることを誇り、茶道に打ち込む夫を軽蔑していた。そんなある日、宗易は名高い能楽師である畏友・宮王太夫の妻おりきに出逢い、激しく心を奪われてしまう。互いに想いを胸に秘めながら、二人は運命の嵐に翻弄されていく…。茶聖千利休とおりきとの破乱に満ちた半生を描く感動の歴史ロマン。


カスタマーレビュー

重量のある内容4
氷点の作者の描く世界観をもとにえがかれた、千利休の一生を綴った小説。茶器の素晴らしさや、茶の持つ政治的効力。日本の世界観を重んじる文化。すべてにおいて、綿密な考察と、推敲がなされており、茶の世界を勉強する方には必ず読んでもらいたい一作。
茶会のクラブや、サークルで活動を深めるためにも、一度は読んで知識を深めておきたい作品。

ほんのりイケメンの利休に付き合う4
たとえば、大河ドラマや、漫画「へうげもの」に出てくる利休よりは、一回り端正で、
人間臭い利休。

利休の最初の妻お稲は、戦国武将三好長慶の妹であることを何よりの誇りとして、
茶の湯に没頭する夫を軽く見てしまう。尊敬する兄弟たちも茶の湯を重んじていることを
知り、その後は夫への態度も軟化するも、すでにそのときは、利休は能楽師・宮王三郎の妻、
おりきに心奪われていた。

三好家没落とともに気鬱にとりつかれるお稲。おりきを我がものにと狙う、梟雄・松永久秀。
荒波の戦国時代をキャンバスに描かれる、利休とおりきの絡まる想い…

疲れない品格のある文体はさすが三浦綾子といった趣ですが、ストーリーは私には少し
甘すぎたかなあ。そんなに簡単に、向こうもこっちを好きなものかよ、という思いが
ついつい湧き上がってきてしまう。利休の実子も、おりきの連れ子も、かんたんに
二人の仲を認めてしまうし。今と時代が違うとはいえ、そんなに都合よくいくかなあ、
と思ってしまうのは私だけ?

とはいえ、女のひと(女の子)がとにかく可愛い。あどけなさ、つややかさ、
まぶしさ、ちかよりがたさ、りりしさ、はかなさ…男の視点から読んでも白けない、
女の姿の活写が、読むスピードにリズムをつけてくれます。

利休は大名に接近する野心を固め、おりきはキリスト教に改宗したところで
上巻はおわります。当然下巻のほうがストーリーの悲劇性は強いでしょうから、
この甘さ、その意味で正当化できるのかもしれません。