胡蝶の夢〈4〉 (新潮文庫)
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商品の詳細
- Amazon.co.jp ランキング: #88439 / 本
- 発売日: 2005-03
- 版型: 文庫
- 488 ページ
エディターレビュー
出版社/著者からの内容紹介
巨大な組織・江戸幕府が崩壊してゆくこの激動期に、時代が求める“蘭学”という鋭いメスで身分社会を切り裂いていった男たち。
内容(「BOOK」データベースより)
瓦解する幕府の海陸軍軍医総裁となった松本良順は、官軍の来襲とともに江戸を脱出し会津に向かう。他方、ともにポンペ医学を学んだ関寛斎も、官軍野戦病院長として会津に進軍し良順と対峙する。そして、激動のなかで何らなすところなく死んでゆく伊之助。徳川政権の崩壊を、権力者ではなく、蘭学という時代を先取りした学問を学んだ若者たちの眼を通して重層的に映し出した歴史長編。
カスタマーレビュー
生きるうえで分相応であることとは、ことを描いた長編小説
外国語習得に関して異能を示した幕末の若者・伊之助の物語として、あるいは近代日本における西洋医学の受容史として、第一巻から読み進めてきましたが、この長編小説が主軸に置いていたのは、江戸末期の封建制の中における階級社会の理不尽さでした。
現代でいうところの同和問題や、士農工商の中における身分差別、さらには伊之助たち医師が制度の外にうち置かれた存在として位置付けられていたことなど、「身の程をわきまえること」を構成員たちに強いていた当時の日本社会の姿が浮き彫りとなってきます。
蘭学を通じて西洋の平等精神を身につけていった主人公たちは、社会制度の理屈にあわないことに異を唱え、そのことによって鼻つまみ者とでもいうべき扱いをうけながらも、異色の存在として日本史の中に引っ掻き傷のような小さな痕跡を残していきます。
英国人医師にその類いまれなる英語能力をいかにして身につけたのかを尋ねられて伊之助が答える場面はなかなか印象的です。「この大気の中に英語が浮遊しています。それを吸ったにすぎません」。
その恵まれた能力を持った異才の男がそれに応じるだけの処世術や立身出世の意欲を(史実とは逆に)持ち合わせていたとしたら、また別の維新日本の設計図を描いたかもしれません。そう想像するのは楽しく、かつ哀しいことだと感じさせる小説、それがこの「胡蝶の夢」なのです。
関寛斎について
この作品で初めて関寛斎翁の事を知った。かの翁が73歳にして全てを捨て、理想を求めて北海道に渡り、
開墾の鍬をふるったのが陸別という町である。これを知って驚いた。私の生れ故郷のすぐ近くの町であったからである。
読後、数ヶ月して田舎に帰った時、陸別に赴いた。
小高い山の上、自然林の中に石碑が立っていた。蜂須賀家の名もあり、関寛斎を顕彰するものであった。
なぜか涙が出てきた。本来であれば、医学を以って新政府にも出仕し、日本の医学の発展に貢献するべき人だった。
しかし、関翁はその様な栄達を捨て、今でも寒さが厳しい土地へ入植し、そして自死した。
読者の方々はマイナス35度というのが想像できるだろうか。仏壇に水をあげたら、翌朝には全て凍っている。朝にはダイヤモンド・ダストが見られる。
川は凍り、音というものが無くなったような静寂。時折聞こえる木が、その中にある水分が凍って割れる音。
そんな所で老年になって自分の生き方を求め、真の理由は想像すべくないが、83歳にて毒をあおぎ死んだ関翁の生き方に只涙がでた。
関翁の事を知っただけでも、司馬先生に感謝する。
今もあまり変わりはない
本作品は幕末から明治頃の医療の現場を題材にした作品です。
読み終えて最初に思ったことは、「いまの日本に良順や関寛斎のような医者がどれくらいいるのだろうか」ということでした。
伊東玄朴などのように医療を政治に使う人間が消え、良順や寛斎などのように患者を第一に考える医者がもっと増えることを本作品を読んで切に願いました。





