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木瓜の花 (新潮文庫 あ 5-16)

木瓜の花 (新潮文庫 あ 5-16)
By 有吉 佐和子

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  • 発売日: 1971-05
  • 版型: 文庫
  • 587 ページ

カスタマーレビュー

美しい売れっ子芸者達の老後5
『芝桜』の主人公二人がそのまま主人公ですが、芝桜を読んでいなくても十分楽しめます。羽田空港がまだ日本の玄関だった昭和30年代後半の風俗、着物を普段から着こなし、日本髪を長く結った頭はハゲができるなんていう、花柳界独特の日常の世界も単純に面白いですが、粋で美しかった女性たちが60を目前に老いというものを意識していく様が興味深かったです。どんな美しい粋な女にも老いは来るという残酷な事実。物語の要所要所にでてくる木瓜の花も素晴らしいです。

「香華」にはない老境。3
「芝桜」の続編。
「芝桜」とよくにた背景を描いた「香華」にはなかった主人公の老境を描いている。

欲得のために手段を選ばぬ凄腕の蔦子と、芸者から足抜きをして料亭を営む正子。
「堅い暮らし」と正子は言うけれど、料亭なんて御大尽か業界人しか行く機会のないところ。
登場する人物は、芸者、歌舞伎役者、大臣クラスのお役人、と世離れした人ばかり。

正子が好きになる男性も、40がらみというのに生活感のない学者さんである。

登場人物の中で唯一地に足のついていた蔦子の母は、強制された贅沢のせいでか惚け果てて没する。

正子と蔦子は時代背景は変わっても同じように、騙し腹立てての繰り返し。

練白粉は一度つけると3-4日はそのままであること、髪を洗うのは月に数回であること、眉墨には桐を焼いて作った炭を使ったこと、など当時の風俗もおもしろい。
着物の豪華絢爛なことは、期待どおり。

戦後の高度成長期の日本を元芸者の目を通して描いた傑作5
 同じヒロインたちの若き日を描いた「芝桜」上下巻より、「木瓜の花」の方が面白かったです。60代を迎えて絶縁していた悪友の蔦代に翻弄される、今は1流の料亭のおかみとなった正子。横文字の勘違い「マスコミ」や「プライバシー」なども他人事とはいえず面白かったです。でも何故、日本人は何でも英語にしてしまうのでしょう。それは今でもたくさんあって、自分が歳をとった時についていけるか不安になります。日本語で通じる言葉は英語にしてほしくないです。
 学者に誘われて観に行ったバレエ公演のシーン「瀕死の白鳥」の描写とヒロイン正子の心情は名シーンではないでしょうか?
 また着物などの記述も多く、古来からの日本人の知恵に関心させられました。有吉さんは、どんな小説でも読者を楽しませなくてはならないと思って書いていらしたそうで、クスリと笑ってしまうシーンもあります。30代以上の人は読んで楽しめると思います。4センチぐらいの厚さのある小説ですが、気楽に読める傑作です。