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第四間氷期 (新潮文庫)

第四間氷期 (新潮文庫)
By 安部 公房

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  • 発売日: 1970-11
  • 版型: 文庫
  • 349 ページ

エディターレビュー

内容(「BOOK」データベースより)
現在にとって未来とは何か?文明の行きつく先にあらわれる未来は天国か地獄か?万能の電子頭脳に平凡な中年男の未来を予言させようとしたことに端を発して事態は急転直下、つぎつぎと意外な方向へ展開してゆき、やがて機械は人類の苛酷な未来を語りだすのであった…。薔薇色の未来を盲信して現在に安住しているものを痛烈に告発し、衝撃へと投げやる異色のSF長編。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
安部 公房
1924‐1993。東京生れ。東大医学部卒。1951(昭和26)年、「壁」で芥川賞受賞。’62年発表の『砂の女』が読売文学賞、フランスの最優秀外国文学賞を受けた他、戯曲「友達」の谷崎潤一郎賞、『緑色のストッキング』の読売文学賞等、受賞多数。’73年より演劇集団「安部公房スタジオ」結成、独自の演劇活動を展開。’77年には米国芸術科学アカデミー名誉会員に推され、海外での評価も極めて高く、急逝が惜しまれる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


カスタマーレビュー

天才とは先が読める人5
今更ぼくがいうまでも無く安部公房は天才だ。

『砂の女』や『箱男』それらの作品をもってそれを論じるのもいいだろう。

けれどこの作品でそれを証明するのが一番手っ取り早いのではないだろうか。

初出が昭和33年だという。
公害が問題になったのが70年代。
バイオテクノロジーに目を向けられるようになったのが80年代。

それを考えると驚愕せざるをえない。

コンピュータが未来予想をする、その結果として現状の人間を否定して
何らかの行動を起こす、このモチーフ自体は当時のアメリカ映画にはいくつかみられる。

が、その多くは核戦争系のベクトルを向いていて
作家が言うような方向を危惧してはいない。

あえて言うなら H.G.ウェルズ御大の『タイムマシン』に近いニュアンスを感じさせるものはあるけれど。

新潮文庫の再発版、その帯のキャッチコピー
「ようやく時代が作品に追いついた」
まさに言い得て妙である。

最も分かりやすい作品のひとつ5
 難解な作品ばかりの安部公房の作品群の中でも最も分かりやすい小説のひとつ。あらすじは;予言機械を作った男が知った未来(=人類が水棲生物になる)は、男が受け入れられるものでなかった。このため男はこうした未来を阻もうとするが、未来人に暗殺される、というもの。

 結局、我々が過去を現在の視点から裁くということは、視点を変えれば、我々の現在は未来により裁かれるものである(例えそれがどんなに現在から見て好まざる未来でも)ということで、そういうことを書いた小説です。
 勿論サスペンスとしても上出来ですが、そういったレベルを超えて、怖すぎる作品。後味も悪いことこの上ないです。

一般的に過小評価されてると思う5
安部公房の作品にはちょっと詳しいつもりです。彼が「箱男」執筆中に本格的に読みました。 (確か中学校の教科書に出ていた「棒」がきっかけで「壁」を読みましたが、中学生の私には少々厳しく、難解なことを崇めていただけでした。) 出版された作品は短編、戯曲、対談、エッセーを含めてすべて読みました。「箱男」が出て、自分の最も好きな作家は安部公房だと躊躇なく言うようになりました。この頃は、あまりに思考が一致するため、まるで自分の共同者のような錯覚をするくらいでした。「方舟」の頃から方向性が異なり始め、興味は薄れましたが、それでも出た本はすべて読みました。

さて、最高傑作はと聞かれれば、「箱男」と言うかもしれません。でも、読み物として一番楽しかったのは「第四間氷期」です。理系のSF好きですから尚更だったかもしれません。あんまり気に入ったから、英語のペーパーバックまで買って、苦労して読みました。 (「第四間氷期」も確かドナルド・キーンの英語翻訳だったように覚えています。勝手な想像ですが、「砂の女」に劣らず外国の文芸・アート関連で影響を与えたのではないでしょうか。)

難しくて考えさせられるのも良いけれど「他人の顔」や「第四間氷期」みたいなサスペンス読み物はやっぱり楽しい。それと何といっても私は「第四間氷期」の出だしと終わりが、とても詩的で大好きです。

私の一番好きな安部公房の小説は「第四間氷期」です。