廃市・飛ぶ男 (新潮文庫 草 115-3)
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商品の詳細
- Amazon.co.jp ランキング: #122629 / 本
- 発売日: 1971-06
- 版型: 文庫
- 331 ページ
カスタマーレビュー
作家の美意識の結晶に思える作品
1959年と1960年の作品集から編まれた本書は八つの中短編から構成されている。作品はバリエーションに富んでいるため、福永武彦の作品に初めて触れる読者は混乱するかもしれない。
自分の印象で言えば、表題作「廃市」にあるような愛情の物語を書く作家が福永武彦の印象であり、もう一方の表題作であるような「飛ぶ男」や収録作品の「未来都市」のような前衛的な作品ではなかった。
しかし、文庫本でわずか50ページ程度の作品である「廃市」を繰り返し再読して、はたと気づいた。もし主人公達に違う未来があったとしたら、「未来都市」の結末が一つの解だったのではないだろうか。つまり福永の作品は表現が違っても、同じテーマを繰り返し扱っていると言うことなのではないだろうか。
ともあれ「廃市」は一読に値する。私には作家の美意識の結晶に思える作品だ。
染み付いた孤独
本屋で「草の花」が平積みになっていて驚いた。最近、書評でよく取り上げられているそうな。けれど、わたしは、福永作品で、文庫化されているものでは、断然、この本が好きだ。福永武彦は、長編より短編のほうがうまいのではないかと思う。とくに「夜の寂しい顔」の幻想的な作風が好きだ。福永武彦という人は、本当に孤独を美しく描く。
一時期、福永武彦を卒論のテーマにしようと、全集を読みふけったが、とにかくもう、みんな孤独だ。騒ぎ立てる孤独ではなく、みんな静かに寂しさを抱えて、とぼとぼと道を歩いていく。
この調子で、他の作品も文庫化してほしい。「韃靼」とか。
心地良いけだるさ
死に対する穏やかな感情というか、もっと死を近しく感じているようにも思う。悟りや諦念といったものが全体的な印象。私的には「樹」における緩慢な幸福と別れが切なくて好きだ。




