忘却の河 (新潮文庫)
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商品の詳細
- Amazon.co.jp ランキング: #81087 / 本
- 発売日: 2007-08
- 版型: 文庫
- 353 ページ
エディターレビュー
内容(「BOOK」データベースより)
「忘却」。それは「死」と「眠り」の姉妹。また、冥府の河の名前で、死者はこの水を飲んで現世の記憶を忘れるという―。過去の事件に深くとらわれる中年男、彼の長女、次女、病床にある妻、若い男、それぞれの独白。愛の挫折とその不在に悩み、孤独な魂を抱えて救いを希求する彼らの葛藤を描いて、『草の花』とともに読み継がれてきた傑作長編。池澤夏樹氏の解説エッセイを収録。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
福永 武彦
1918‐1979。福岡県に生れる。一高在学中から詩を創作する。東大仏文科卒。戦後、詩集『ある青春』、短編集『塔』、評論『ボオドレエルの世界』、10年の歳月を費やして完成した大作『風土』などを発表し注目された。以後、学習院大学で教鞭をとる傍ら『草の花』『冥府』『廃市』『忘却の河』『海市』等、抒情性豊かな詩的世界の中に鋭い文学的主題を見据えた作品を発表した。1961(昭和36)年『ゴーギャンの世界』で毎日出版文化賞、’72年『死の島』で日本文学大賞を受賞。評論、随筆も世評高い(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
カスタマーレビュー
ストーリー構成力がすばらしい!!
内容自体は哲学にも通じるものがあり、重く深いものです。
人間が生きるうえでの悩みや憤りと言うものが、全面に表現されています。
一章毎に異なる人物が主となり心情が語られ、最終的には全ての人物のすれ違っていた心が繋がります。
私の文学人生において、ベスト5に入る作品です。
現在文庫本の増刷はありませんが、作品集等では読むことが出来ると思います。
是非一度読んでみてください。静かでありながら深い感動が得られるはずです。
これはまちがいなく名作です
連作長編である。
それぞれの物語は、主人公の独白で構成されている。
40年前が舞台になっているので少々古めかしいが、普遍的なテーマを扱っているから第一章を読み終える頃には違和感はなくなる。
若かりし頃、自分の優柔不断が原因で自殺した恋人、自分より遙かに若い戦友の死に立ち会った体験、藤城は孤独な思いを抱えたまま年を重ねている。
物語はそこから始まるが、藤城が主人公と定まったわけではない。
漂泊の魂と孤独な愛 というバトンが次の走者に手渡されるのである。
今の若い人が書いた小説は、個人が持つ焦燥感についてはよく表現されていると思うが、なぜ焦燥感があるかの分析はしていない。
『イライラするのよね、でも満たされるときもあるからそれはそれでいいんだと思う。 とりあえず今の恋人は大事にしたい。 いつか幸せになれるかもしれないし・・・』
読み手は共感するけれど、そこまでで終わりである。
人が生きるのは大変なことである。
しかし我々はいずれは死んで忘却のかなたに去っていくのだ。
人はなにを手がかりにして生きていけばよいのだろうか。
当時46歳の福永武彦は、このテーマに正面から取り組んで、登場するそれぞれの人物に答えを出している。
久し振りに、小説らしい小説を読んだ。
静かに圧巻
帯には、『人生に二度読む本』とあった。かつて、この作品をタイムリーで読んだ世代の為に、再び文庫本として世に出たのならば、初めて読んだ私も出版社の良心や美意識をちょっとばかり感じました。ベストセラーのリストを見ては読みたくないかも、の連続。書店では一冊も手にする事無く帰宅する事も少なくない。ネット書店を通じて、気軽に手にしたこの一冊の余韻に浸っています。家族それぞれの秘めた胸の内をもしそれぞれが知っていたならば、ここに出てくる家庭の様子も違っていたかも知れないのかな?けれども、多くを相手に語ることはないけれども、心の中での語りの部分、その深さに愛情を感じました。空気を読めと実生活の中で言われても、何でよ〜!と思ってしまいますが、逆に語らない、その部分を慮っていく事も大事なんだなと思いました。





