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黒革の手帖〈下〉 (新潮文庫)

黒革の手帖〈下〉 (新潮文庫)
By 松本 清張

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  • 発売日: 1983-01
  • 版型: 文庫
  • 386 ページ

エディターレビュー

内容(「BOOK」データベースより)
元子を恨む波子は楢林と別れ、大物総会屋をパトロンにクラブを開く。政治家秘書の安島を通じ、医大の裏口入学者のリストを手中にした元子は、橋田をおどし、一流クラブ、ルダン買取りの仮契約を結ぶ。しかし橋田、安島らの仕組んだ罠が元子を待ち受ける。安島との一夜での妊娠の不安に怯える元子の前には黒服の男たちが…。夜の世界に生きる女の野望を描くサスペンス長編。


カスタマーレビュー

全く色あせない作品5
時代背景も違う、もちろん金銭の価値も異なる。しかし、そういったことを感じさせない力強い作品である。黒革の手帳を元に男達から金を引き出すしたたかな原口元子。そして驚愕のラスト。
十分に堪能させて頂いた。

20年以上経ても全く色あせない作品。作者に脱帽である。

サスペンスの面白さに満ちた佳作5
 銀座を舞台にした“逆・細うで繁盛記”。「銀座」「立身出世」「男たちの欲望」「女同士の確執」等々、大衆受けしそうなアイテムを駆使しつつも、そこは松本清張のこと、当り前のサクセス・ストーリーになるはずがありません。「悪女小説」的な前半から、後半の意外性に満ちた物語展開(僕はカトリーヌ・アルレーの『わらの女』を連想しました)で読ませます。リーダビリティの高さは、著者の数ある長編の中でも上位にランクできるのではないでしょうか。
 尾崎秀樹は本書の解説の中で「ミステリーではない」と明言しています。確かに謎に満ちた殺人事件が起きる訳ではないのですが、ヒロイン元子がのし上がっていく過程はスリリングですし、後半、彼女に対して張り巡らされた罠の巧妙さ、大胆さは、ミステリならではの面白さが満喫できます。それにしても、著者のヒロインを追い詰めていくやり方は、半端じゃないですね。ラストの落ちも、ここまでくると怪談です。
 著者の後期作品の中で、特に人気が高いのも頷ける出来栄え。サスペンス小説の面白さに満ちた佳作です。

変化ある人間関係に呑まれて4
ドラマが話題になっているということで興味を惹かれて読んでみました。(ドラマは見たことがありません・・・)

元子が銀座でバアを開こうと思ったのは「水商売は当れば儲かることと、・・・・・・思い切って変ったところへ飛びこみたかったからだ。・・・・・・この商売は客をふくめて変化ある人間関係に発展する可能性を持っていた。」からである。

銀行での横領金を使って銀座でのし上がっていく姿は強く圧巻されるが女という意味では元子ははじめから波子に負けていたのではないだろうか。また元子の女の部分が足りてなかったからこそ銀座で足をすくわれたような気がする。そして「変化ある人間関係」の渦に知らず知らずのうちにのみこまれ窮地に追い込まれる。いずれにせよ女を武器にできない元子ははじめから敗北していたと思う。

またこの小説の驚くべきところは70年代に発表されたにもかかわらず古さを感じさせない点だと思う。