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時間の習俗 (新潮文庫)

時間の習俗 (新潮文庫)
By 松本 清張

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  • 発売日: 1972-12
  • 版型: 文庫
  • 325 ページ

カスタマーレビュー

このアリバイはスゴイです。4
『点と線』で登場した三原警部補と鳥飼刑事が再び協力して、東京と九州にまたがる事件に立ち向かうという話です。松本清張にしては珍しく、社会派的な色彩は殆どなく、ひたすらアリバイ崩しに徹した作品となっています。ひょっとしたら彼は社会派というレッテルに抵抗感を持っていたのかも知れません。社会悪に対する糾弾や社会の犠牲になる人の悲しみといった要素を排除しても、松本清張は十分に読者を惹き付けることができるということを本作は立証しています。

犯人は殆ど冒頭近くから分かっているのですが、彼が考案したアリバイ作りはスゴいです。ひとつアリバイが崩れるとまた別のアリバイが現れるといった具合でなかなか破れません。他に犯人の候補が全くいないにもかかわらず、途中で「ひょっとしたらこの人は犯人じゃないのかな?」と思いかけてしまったくらいです。

点と線が好きな方へ4
これは点と線でお馴染みの松本清張が、あの作品の名コンビ刑事を使って書いた推理小説。推理小説としてはかなり味があります!彼の作品は別に名探偵がいるわけでもなく、渋い色気のある刑事がいるわけでもなく、探偵役が非常に地味で、展開も地味なのですが、その分小説として文学的風味があって好きです。点と線が面白いと思った人はこの作品も好きになると思いますので是非。

三原警部補の冴えに感心する4
松本清張の点と線に出てくる三原警部補と鳥飼刑事のコンビによる、アリバイ崩しの推理小説だ。
点と線同様に、三原警部がまず犯人の目星をつけ、執拗に追っていく。
犯人には鉄壁と思われるアリバイがあり、その「鉄壁さ」に三原警部補が怪しさを感じるのだ。

小説の中の出来事にあれこれ考え始めるのは、その小説が面白いからなのだけど、

あんなに知恵を巡らす犯人なのだから、完璧すぎるアリバイは不自然ということに気づかないのだろうか?
用意周到なのはわかるけれど、園までアリバイを計画した時点で「自然さ」という観点で自己チェックしないものなのだろうか?

まあ、自然なところまでアリバイにスキを作ってしまうと、三原警部補が怪しさを感じなくなってしまい、アリバイ崩しができなくなってしまうけど。

さて、この「時間の習俗」の完成度だが、アリバイ崩しの推理小説なので、犯人の殺害動機やストーリー展開に付いてごちゃごちゃ言ってはいけない。という完成度だ。

アリバイ崩しも読み終えてしまえば「なーんだ」ということなのだが、読み進んでいるうちは、「ははーん、そうなのか」と三原警部補の冴えに感心してしまう。

最後までわからないのが「時間の習俗」の意味するもの。
習俗とは習わしなのだが、時間の習わし、時間の習慣。
時刻の推移に引きずり回される先入観に三原警部補が立ち向かったということなのだろうか?