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ゼロの焦点 (新潮文庫)

ゼロの焦点 (新潮文庫)
By 松本 清張

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  • Amazon.co.jp ランキング: #9938 / 本
  • 発売日: 1971-02
  • 版型: 文庫
  • 481 ページ

エディターレビュー

内容(「BOOK」データベースより)
前任地での仕事の引継ぎに行って来るといったまま新婚一週間で失踪した夫、鵜原憲一のゆくえを求めて北陸の灰色の空の下を尋ね歩く禎子。ようやく手がかりを掴んだ時、“自殺”として処理されていた夫の姓は曾根であった!夫の陰の生活がわかるにつれ関係者がつぎつぎに殺されてゆく。戦争直後の混乱が尾を引いて生じた悲劇を描いて、名作『点と線』と並び称される著者の代表作。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
松本 清張
1909‐1992。小倉市(現・北九州市小倉北区)生れ。給仕、印刷工など種々の職を経て朝日新聞西部本社に入社。41歳で懸賞小説に応募、入選した『西郷札』が直木賞候補となり、1953(昭和28)年、『或る「小倉日記」伝』で芥川賞受賞。’58年の『点と線』は推理小説界に“社会派”の新風を生む。生涯を通じて旺盛な創作活動を展開し、その守備範囲は古代から現代まで多岐に亘った(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


カスタマーレビュー

前半は読ませるけど・・・4
映画が封切られるというので、読んでみた。

相手の素性をよく知らぬままに結婚した若妻の微妙な心の動き、夫婦とはいえどこかぎこちなさが残る二人の関係など、女主人公の気持ちが、ていねいに描写されていて好感が持てる。

しかし、いくつかの殺人事件に彼女が巻き込まれていくなかで、真相を解明しようとする彼女のアクティブな活動が目立つにつれ、最初の女主人公のあやういイメージが次第に消え、女探偵のように描かれているのは、いくら推理小説とはいえ、ちょっと違和感を覚える。

ラストシーンの描写は映像的だが、なんかうそ臭いという印象がぬぐえない(詳細はかけませんが)。

結論から言うと、人殺しの数をもっと減らして、女主人公以外の人生がもっとリアルに浮かび上がってくるような、サスペンス的味付けをした人生ドラマにしてほしかった。

余談ですが、昭和三十年代は、皆がタバコを吸い、ウィスキーがよく飲まれていたんだなあ
と、変なところに感心してしまった。それと、「プライバシー意識」が希薄だったことがわかる。当時は、警察や医師や新聞が、こんなに簡単に個人情報をもらしていたのだろうか。

その意味で、時代を感じた。







本編のリアリティは○、カバー裏・巻末解説は×4
新婚早々失踪した夫を探して東京⇔金沢を行き来する妻の視点で、事件を追う。
約1ヶ月間で全容が明らかになるまでに、いろいろな人の過去や現在の生活が明るみに出る。
過去を描出するときも、あくまでも現在の妻の視点に立っているため、自然に人間らしい文章の流れになっています。年末の日本海側の寒さを背景としたそのリアリティが、松本清張の上手いところなのだろうと思いました。

逆に、巻末の解説に、このあらすじを時間軸に沿って説明してあるのですが、こっちは全く読めた代物でない。これとの対比に、改めて、松本清張の説得力をすごいと思いました。

本編とは無関係なんですが、新潮文庫のカバー裏の解説は、良し悪しです。。そこまで書いちゃうかよ。と。
他の新潮文庫でも、たとえば、『異邦人』(カミュ)のカバー裏。明らかに書きすぎ。

冬の日本海を背景に、夫の未知の領域に踏み込んでいく妻の疑惑を描いたサスペンス小説4
 結婚して十日後、「今度の金沢行きが、最後の向こうでの仕事になるだろう」と、妻の禎子(ていこ)に言い残して出発した夫の鵜原憲一(うはら けんいち)。しかし、戻る予定の日が過ぎても、鵜原は出張から帰ってこない。鵜原の身に何かあったのではと危惧した禎子は、失踪した夫の行方を追って金沢へと赴く。北陸の地に滞在して鵜原のことを調べていく禎子の前に、やがて、夫の知られざる生活が浮かび上がってくる……。

 北陸の金沢や能登半島を舞台に、新婚早々失踪した夫の足取りを訪ねるうちに、ヒロインの禎子が事件に巻き込まれていくミステリー。夫の秘密の領域に、徐々に踏み込んでいく妻の疑惑がサスペンスをかき立てます。とともに、日本海に面した北国の十二月、暗くもの哀しい風景が、この作品の雰囲気や色調を決定づけているように感じました。

 事件犯人が誰なのか、その動機は何だったのか、といったことは、割と早くに察しがついてしまいました。そうした謎が解かれた時の驚きを楽しむミステリというよりも、これは冬の北の海を背景に、夫の過去を探っていく妻の心理サスペンス小説なんじゃないかと、そう思ったんですね。その点では、滝壺に向かって一気に流れ下るような終盤の展開にぞくぞくしたこと、文中にある箇所がここにつながるのか!とハッとさせられたラストが、とても印象深く心に残るものでした。

 おしまいに、本書巻末の解説について一言。話の筋をかなり後半の部分まで記しているため、作品の前に読むと、だいぶ興が削がれてしまいます。また、文庫カバーの裏にある内容紹介文の中にも、これは明かさないほうがいいんじゃないかという一文がありました。あらすじをどこまで語るかというのは、こうしたミステリーの場合、微妙なところがありますが、本書ではそれがネタバレ領域にかかっているのではないだろうかと、それがやや気になりました。