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注文の多い料理店 (新潮文庫)

注文の多い料理店 (新潮文庫)
By 宮沢 賢治

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  • 発売日: 1990-06
  • 版型: 文庫
  • 358 ページ

エディターレビュー

内容(「BOOK」データベースより)
これらのちいさなものがたりの幾きれかが、おしまい、あなたのすきとおったほんとうのたべものになることを、どんなにねがうかわかりません―生前唯一の童話集『注文の多い料理店』全編と、「雪渡り」「茨海小学校」「なめとこ山の熊」など、地方色の豊かな童話19編を収録。賢治が愛してやまなかった“ドリームランドとしての日本岩手県”の闊達で果敢な住人たちとまとめて出会える一巻。


カスタマーレビュー

賢治のドリームランド、「イーハトヴ童話」の素晴らしき哉5
 大正十三年(1924年)十二月に刊行された童話集『注文の多い料理店』全九篇(「どんぐりと山猫」「狼(オイノ)森と笊(ざる)森、盗(ぬすと)森」「注文の多い料理店」「烏の北斗七星」「水仙月の四日」「山男の四月」「かしわばやしの夜」「月夜のでんしんばしら」「鹿(しし)踊りのはじまり」)と、「雪渡り」「ざしき童子(ぼつこ)のはなし」「さるのこしかけ」「気のいい火山弾」「ひかりの素足」「茨海(ばらうみ)小学校」「おきなぐさ」「土神ときつね」「楢(なら)ノ木大学士の野宿」「なめとこ山の熊」の十の童話を収めた一冊。賢治の書いた素敵にきれいな序文からはじまる『注文の多い料理店』の童話集。これはやっぱりいいなあ、魅力的だなあと、改めてそう感じました。
 最初の一篇「どんぐりと山猫」の話から、殊に次のことがいいなと思ったんですね。まず、話の中に出てくる色のイメージが鮮やかで、キラキラと輝いていること。次に、≪革鞭(かわむち)を二三べん、ひゅうぱちっ、ひゅう、ぱちっと鳴らしました。≫といった、擬音語の使い方に賢治のセンスが発揮されていること。さらに、その土地のなまりをそのまま使った、地方色豊かな雰囲気のあること。あるいは、話の全体に流れる音楽のようなリズム感の心地よいこと。などなど、本当に味わい深くて、色彩感と音楽性にあふれた童話だなあと思いました。
 本文庫巻末の「(作品の)注解」ならびに、天沢退二郎氏による「収録作品について」記した文章が、実に的確で親切、そして充実したものだと感心しましたですよ。賢治が書いただろう『注文の多い料理店』の広告ちらしの文章ともども、この童話集の味わいを考える上で、とても参考になりました。

僕の神様のような、やさしい存在。5
宮澤賢治は本当に素晴らしい作家で詩人で、そして僕にとっては、その思想が、とてもやさしくて神様みたいな存在です。

僕は「中村一義」という演奏家も好きなのですが、宮澤賢治の作品を読んでから何となくわかったのですが、中村一義の作品には宮澤賢治の引用が多くあるような気がします。誰にでもわかる「雨ニモ負ケテ風ニモ負ケル」や「新世界(「銀河鉄道の夜」の中に突然に鳴り出す、有名なドボルザークの交響曲です)」、「ハレルヤ(これも「銀河鉄道の夜」の中で「ハルレヤ」と語順を故意に変えて使用しています)」などです。二人ともに僕の大好きな作家であるので、特に勝手に記述させて頂きました。

この文庫本の中で最も好きな作品は「土神ときつね」で、とっても切ない恋の三角関係の話を「きつね」と「土神」と「樺の木」という擬人を使って書かれています。「樺の木」は女の子で、その存在からして全く動けない「木」な訳で、とても受身な女の子の象徴です。そこに足を運ぶ「きつね」と「土神」。特にもてない男の存在の象徴である「土神」の心の葛藤は、同じ境遇を持つ自分には心苦しい程に伝わります。そのエンディングも唐突で、それも悲しいです。この作品にも見られるように、彼の作品のエンディングは非常に唐突に終わる作品が多くあります。

今は、それほどに彼のブームではありませんが(彼の作品が好きな僕の友達は、何故に彼が新札に採用されないのかプンプンしていました)、読めば必ずに身体にジンとくる作品ばかりです。そして、いつか彼の故郷の「イーハトーボ」を訪れて彼を好きな、やさしい人達と、いつまでも彼のことを語り合いたいと思います。

お勧めは「雪渡り」5
「注文の多い料理店」は、
そもそも童話として意図されているので、
賢治の作品のなかではたいへん分かりやすい作品です。
山の中にある料理店、というだけ怪しい雰囲気を漂わせ、
その後は間抜けな客にハラハラ。
後半登場する山猫も「怖い!」と思わせます。
ストーリーがよくできています。

「銀河鉄道の夜」のような精神性への言及はありませんが、
よくできた童話のもつストーリーのメリハリとその卓越が感じられます。

お勧めは「雪渡り」。
子供に語りかけるような文体ですが、
本作は冬の農村を舞台にしたファンタジーです。
まさに賢治ワールド。
「こんなにシンプルなのになぜ余韻が深いのか」を考えてしまいます。
印象深い作品になっています。
ご一読を。