友情 (新潮文庫)
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商品の詳細
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- 発売日: 1947-12
- 版型: 文庫
- 185 ページ
カスタマーレビュー
『友情』と『愛情』の在り方
改めて小説というものの奥深さを感じさせられた。というのは私はこの小説から他の方々とは何故か違った視点で考えさせられていたように思うからだ。他の方々が野島と大宮の「友情」の在り方について考えているのに対し、私は「愛情」と「友情」の在り方について考えていた。人は「友情」よりも「愛情」をより求めるように生物の原子的なレベルで定めらているのだろう、と。「愛情」を求める本能を理性で抑えて、野島に「友情」をもって応える大宮。彼は同じ男として素晴らしく気持ちのいい男だと思うが、その大宮でさえ、女の愛情を求めずにはいられなかった。おそらく誰しも女の愛情が手に入るのならば、代償として友人一人の友情をどぶに捨ててもいいと一瞬でも感じたりしたことがあるのではないだろうか。そういうことが嫌だったこともあってかこの本を読んでからというのも私は友人の好きな人あるいは彼女に近づくことを無意識のうちに避けるようになった。近づいたところで何かが起こるわけではないかもしれないが、決して何かが起こらないとも言えない。私は昔から友人との「友情」はかけがえのないものであると考えてきた。だからなかば友人のパートナー恐怖症的なこの考え方が精神にしみわたったのだと思う。この考え方がいいのか悪いのかはわからない。そういった良し悪しの問題でもないのかもしれない。だが少なくともこの本に大きく影響された事実には変わりない。私にとってはそういった意味でこの小説のタイトルは『友情』であり『愛情』であると思う。
良いものは時代を超えて良い。
白樺派の小説を読んだのはこの作品が初めてだった。そんな予備知識のない僕でも十分に楽しむことが出来た。以下、自分なりの感想を書いてみたい。
まず、登場人物たちの求道的な、自らが価値あると信じたもの(恋や芸術)に魂を捧げる、強く、爽やかな生き方に感銘を受けた。
文章が新鮮で、瑞々しく、現代の純文学のような「肥大化したエゴの有様を生々しく書いていく」といった、グロテスクさからは隔絶したものを感じた。こういう明るく、健全な小説を読むのも偶には好いものだ。
現代を生きる多くの人が感じているだろう、疲弊感・閉塞感・徒労感といったマイナスの感情からも、この小説を読むことでカタルシスを得て、一瞬、開放されるのではないうだろうか?
そんなことを思わせる力のある小説である。
大宮が素晴らしい
この手の文学小説はあまり好きなものが少ないのだけれど、これはとても素晴らしい。友情という主題が、恋愛と結びついたときにどのように変化していくのか。野島の気持ちも大宮の気持ちもよく分かる。特に大宮はどれだけ苦しんだことか。それこそ友情と愛情を行ったりきたり。いまどきこの人ほどに友情について考えられるひとはいないのではないだろうか。





