宴のあと (新潮文庫)
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商品の詳細
- Amazon.co.jp ランキング: #125660 / 本
- 発売日: 1969-07
- 版型: 文庫
- 237 ページ
カスタマーレビュー
見事な『小説』
プライバシー訴訟で教科書などにも載る知名度抜群な作品だが、
実は読んだ人はそんなに多くないだろうという作品。『潮騒』や
『金閣寺』といった三島文学の精髄から見ると一見亜流に見え、
文学紹介から入っていく場合には目に留まることが少ない。
しかし、既出のレビューの通り、モチーフの構成、登場人物の
幾重にも巡らされた鮮やかな対立項(貴族対庶民、血統対成上、
孤高対社交、革新対保守、理想対現実)とその捻れた接続、
『自然』な惹かれあい方と破局に至る描写の驚く程巧妙な展開、
文化価値観の相違と生活面における制約などを、「東京都知事
選挙」という一つの主題に対して実に鮮やかに手際よくさりげ
なく、しかし異様な程に洗練された手法を通じて、『1960年代
の日本社会の態様』の文学的再構成に成功している。
海外で評価されたのも、本書がひとえに日本のみならず、複数
の社会的、国内的文化の混交と軋轢を鋭く適切に抉り取った作品
だからであろう。なお、本書末尾の西尾幹ニ氏の解説・書評は、
立場は違うが簡潔にして要を得たものであり一読を薦めたい。
理想と現実
政治家と料理屋の女将の話。 理念的な政治家、政治的な女将。このコントラストが見事に描かれる。 三島由紀夫を名前で敬遠している人、三島由紀夫を思想的に敬遠している人にも 受け入れられるであろう小説。 「理想と現実」。よく言われる二項対立だが、非常にうまく描かれている。 個人的にはこれまで読んだ三島作品の中でも上位にランクする。 ぜひ、読んでほしい。
真空より身を引き裂く北風
「宴のあと」は恋愛小説であり心理小説。仕事(料亭)はある程度成功していても、孤独な中年女性のお墓への執着、好きな男を選挙に当選させようと奮闘する単純な情熱、女の策略、物に執着する男へのちょとした軽蔑、女の嫌な部分を含有しているにもかかわらずなお魅力的に福沢かづが描き出されている。「雪国」の島村は誰にも影響を与えないのに、島村によって駒子が生き生きと(あるいは孤独に)描き出されているように、ほとんど自分のことしか考えていない野口によって、かづの行動がよりいっそう生き生きと人間らしさのある人物として描き出されている。





