鏡子の家 (新潮文庫)
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商品の詳細
- Amazon.co.jp ランキング: #82067 / 本
- 発売日: 1964-10
- 版型: 文庫
- 572 ページ
カスタマーレビュー
以外に傑作
朝鮮戦争後昭和30年ころ、冒頭から主人公の青年4人と、彼らの集まるサロンの主人の鏡子は、早くも退屈している。
徐々に戦後の混沌が失われていく時代と、自分の人生に。
退屈を生き抜くため、青年たちは・鏡子はそれぞれ自分たちの流儀に従って退屈を生き抜く方法を選び取っていく。たとえば、杉本清一郎はこの世の破滅を信じることで退屈をしのぎ、舟木収は自らを永遠に閉じ込めてしまうことで退屈をしのぐ。
小説のなかで観察者としての役割を与えられている鏡子は別として、4人の青年たちが三島由紀夫の分身であることは間違いない。エリート会社員清一郎は、大蔵官僚の三島。美貌の俳優収は、ボディービルダーとしての三島。日本画家夏雄は、作家三島。そしてボクサー(から右翼団体にに加入する)俊吉は、盾の会主催者としての三島である。
はじめての長編小説のせいか、たしかに作品としての完成度は「金閣寺」などに譲るのかもしれません。しかしそれだけに三島由紀夫が抱えていた(のだろう)問題がくっきりと浮かび上がっている、読みごたえある作品です。どうして彼は俊吉の人生を選んだのだろう?
登場人物が過剰にナルシストなのもさすがです。☆4つ
「三島インデックス」のごとき小説
下の方も書いておられる通り、この小説の登場人物は全て「三島の分身」で、それぞれの役割もわかりやすすぎる程、区分けして書かれています。発表当時、評論家の評判がものすごく悪かったらしいですが、それもこの小説がいささか図式的に書かれすぎているせいでしょう。三島は「金閣寺」を書き終えて「自分ののっぴきならない問題」に或る程度カタをつけたと思ったからでしょう、この小説にはどことなく自分を突き放して客観化しようという「余裕」のようなものが感じられます。彼は自分の性向を幾通りかの登場人物に分散させて書いているので、この小説を読んでいると「三島由紀夫」という一冊の辞書から彼の色々な要素をインデックス引いて読み解いていくような気分になります。「美徳のよろめき」や「金閣寺」のあとに書かれた長編ですが、これらに見られる三島の「逆説的・晦渋な文体」に比べるとものすごく平易で読みやすい文体になっています。そのためページ数は長いですが、読んでいて苦になりません。「金閣寺」のような緻密で緊張感の張りつめた文体ではないので散漫な印象を受けるかも知れませんが、私としては大江健三郎や石原慎太郎の初期小説を思わせるような、「退屈な時代における、ブザマで、それでいてどこか切ない青春小説」としてなかなか面白いと思いました。
地獄絵巻
ニヒリズムに冒されることなく、著者の「ニヒリズム研究」に付き合っていられるかが問題です。読みやすいので、注意してください。閻魔も亡者もいません。いるのは、現代人の典型です。
人間や世間に疲れ、ほっと立ち止まって、この本を読むのは危険です。読後、いつ終わるかもわからない悪夢に浸ってみたいという人には、お勧めです。世界観に異変が起こります。





