神の子どもたちはみな踊る (新潮文庫)
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商品の詳細
- Amazon.co.jp ランキング: #46704 / 本
- 発売日: 2002-02
- 版型: 文庫
- 237 ページ
エディターレビュー
内容(「BOOK」データベースより)
1995年1月、地震はすべてを一瞬のうちに壊滅させた。そして2月、流木が燃える冬の海岸で、あるいは、小箱を携えた男が向かった釧路で、かえるくんが地底でみみずくんと闘う東京で、世界はしずかに共振をはじめる…。大地は裂けた。神は、いないのかもしれない。でも、おそらく、あの震災のずっと前から、ぼくたちは内なる廃墟を抱えていた―。深い闇の中に光を放つ6つの黙示録。
内容(「MARC」データベースより)
しんと静まりかえった心の中のいちばん深い場所で、たしかに、それは起こった-。小さな焚き火の炎のように、深い闇の中に光を放つ。『新潮』連載「地震のあとで」に書下ろし一篇を加えた初の連作小説。〈ソフトカバー〉
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
村上 春樹
1949(昭和24)年、京都府生れ。早稲田大学文学部卒業。’79年、『風の歌を聴け』でデビュー、群像新人文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
カスタマーレビュー
人の心の拠り所とは
関西大震災を題材として,人が生きてゆく上での心の支えや,生きる原動力,あるいは常識だとか日常,人生観などというものが,いかに脆くて儚い虚構であり,夢幻のようなものであるかということを描いた作品だと感じた。
現実というのは,人の心の中心にあるそれら真実とは似て非なるものであり,また時としてそれを大いに裏切る。 たとえば大震災という出来事が現実として起こり,それまで人々がどっぷり浸るように信じきっていたモノが根本から徹底的に破壊されたとき,人が直面するものは一体何なのか,ということを筆者は考えたかったのではなかろうか。
『super-frog saves tokyo』 という物語で,金融機関で働く主人公のもとに突然現れた大きなカエルが,東京の地下に潜む巨大なミミズを 『退治する,退治しなくてはならない』 と言う。 それはカエルにしか出来ない仕事であり,それで東京を救うのだ,と信じて疑わない。 そしてある日,巨大ミミズとの死闘を演じてきたカエルは,力尽きるも自分が世を救ったのだと信じて,満足げに死んで,朽ちてゆく。
カエルにとって 『巨大ミミズとの闘い』 というのは,カエルの心の中心に据えられた大いなる虚構であり,同時に人間一人一人が信じきっている 『真実』 というものを表している。 それは人の生きがいでもあり,本人にとっての常識であり,あるいは日常と呼ぶべきものだ。 それは仕事であったり,子供であったり,ポジティブなものやネガティブなものであれ,何にせよ本人にしか見ることの出来ないモノである。 人の心はその虚構によって支配され,また虚構のために生きて働いて,それに命をかけて,力尽き,最後は死んで土に帰る。 つまり,このカエルというのは主人公自身であり,また人間の誰もがこのカエルなのである。
村上春樹の作品は,一見チンプンカンプンで意味不明なストーリーなようでいて,そこに秘められた比喩や暗示を見出すと,とたんに目から鱗が落ちたように一貫したテーマが見えてくる。 浅いようでいて深く,深いようでいて浅いような,そういうところが村上作品の魅力なんじゃなかろうか。
しっかりとした結末がある、村上作品はいかがですか?
収録されているのは6編の短編小説。
最近の村上作品と同様、「喪失感のようなもの」がテーマです。今までの小説と違うところは、主人公が抱えているトラウマがはっきりしていて、それが原因で失ってしまったものもほぼしっかり書かれています。一番安心できるのは、短い作品の中で、それぞれの答えや結末、方向が示されていることにあります。
長編小説だけれども、事件らしい事件がおこらない、かつ解決策も示されていなかった、「ねじまき鳥クロニクル」や「スプートニクの恋人」を読んで、村上作品に対して釈然としない気分のままでいる人も多かったはず。この短編集なら安心感、大ありです。
以下、個人的に好きなものをいくつか紹介します。
表題作「神の子どもたちはみな踊る」
白い月の光を!!浴びてピッチャーズ・マウンドで踊る善也のすがたが目に浮かびます。実写の映画では難しいかもしれないけれど、アニメでそのシルエットを表現したらかっこいいんじゃないかと思います。
「かえるくん、東京を救う」
あなたのような人に声援してほしい、そんなふうにかえるくんに言われたら、うだつのあがらない銀行員・片桐じゃなくたって、一肌脱ぎたくなるでしょう。
がんばっているのに報われない、そんなときにはこれを読むと元気が出てきます。
東京大震災を食い止めるためにかえるくんと片桐が立ち上がる物語。芥川龍之介の「河童」を思い起こさせる作品です。
書籍の最後を飾る「蜂蜜パイ」
この作品、「ノルウェイの森」に対するアンサー・ソングだと私は思うのだけれど、皆さんはどう思いますか!!。学生時代からの三角関係がハッピーエンドになる物語。
これからの村上作品でもこのような味わいが感じられるのか、ちょっと楽しみです。
短いからこそのよさ。
村上春樹の短編集。
いくつかの独立した物語を集めたものですが、どの作品にも「阪神大震災」っていう共通項がある。
村上春樹の短編は、多分、初めて読みましたが、物語の細部の描写や登場人物の心持ちをじっくりと吟味しながら楽しめました。
なぜなら長編と違い、集中力が持続したままで読み終えることができる。
例えば、超長編の第1巻を5分の4くらいまで読んでいて、それが寝る時間の夜12時くらいだったとしても、読み切ってしまいたい性格です。
ストーリーに飲み込まれた感情移入した状態で読んでしまいたいし、結末を早く知りたい。
そうすると、ストーリーに関係ない細部を読み飛ばしてしまうことが多々あるわけで。
短編だとそれがなく、お話の全体をじっくり、ゆっくり読める。
この本の中に、心に寂しさというか悲しさというか、なんとも説明できないようなものを持った二人の人間が、海辺で焚き火をする、って話があります。
そのお話がとてもいい。
生まれたばかりの子馬のようなチロチロとした炎が、天まで届くような大火になり、さらには、闇夜の蛍のような優しげなオレンジの残り火になっていく様を、二人の会話の経過と共に描き出している。
なにか美しい文章です。





