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螢・納屋を焼く・その他の短編 (新潮文庫)

螢・納屋を焼く・その他の短編 (新潮文庫)
By 村上 春樹

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  • 発売日: 1987-09-25
  • 版型: 文庫
  • 189 ページ

エディターレビュー

内容(「BOOK」データベースより)
秋が終り冷たい風が吹くようになると、彼女は時々僕の腕に体を寄せた。ダッフル・コートの厚い布地をとおして、僕は彼女の息づかいを感じとることができた。でも、それだけだった。彼女の求めているのは僕の腕ではなく、誰かの腕だった。僕の温もりではなく、誰かの温もりだった…。もう戻っては来ないあの時の、まなざし、語らい、想い、そして痛み。リリックな七つの短編。


カスタマーレビュー

村上春樹の腕の筋肉について5
 「蛍」が「ノルウェイの森」の原作ということで この短編集も有名になったと思う。実際「蛍」を読んだ段階では 結末の無い奇妙な短編という印象だった。村上春樹自身もこの短編が何処に行くかは分らなかったと告白している位である。その後 この短編の続きを読みたいと人に言われて書いたのが「ノルウェイの森」になり 村上春樹の大ブレークとなった。人生いろいろである。

 ところで 小生は(そして結構同意見も多いが)本短編集の白眉は「納屋を焼く」だと思う。これまた結末の無いミステリアスな作品ながら ざらっと感じる「闇の深さ」に引き込まれる。ここで断言してしまうが この「納屋を焼く」という言葉の意味は「人を殺す」と考えることが 一番素直な読み方だと思う。どうしようもない心の闇を抱えた登場人物が主人公の女友達を殺してしまう話だ。後の「ダンスダンスダンス」の五反田君の原型がここにある。主人公は それを分っていながら 淡々とジョギングにいそしむ不気味な話である。

 村上春樹はこのように短編で何かを掴み それを長編に練り直す豪腕に魅力がある。彼が「豪腕」に見えないのは そのソフトな語り口に惑わされるからだ。長編と その原型の短編を読み比べていると 彼の腕の筋肉の動きが見える気がする。そんな所が ある意味でとても誠実であるとも思う。

長編と比べて読むとさらに深く楽しめます5
『蛍』は『ノルウェイの森、『納屋を焼く』は『ダンスダンスダンス』の原作(もしくは同時に書かれた?)と勝手に解釈して読んでいます。

淡々とした記述、クリスプな言葉運びの中に、時折「ぎょっ」とする闇が見えて、とてもスリリングな短編集です。

『踊る男』から長編を書いてくれないでしょうか。。。

非常に力のある短編ぞろい5
すっごく分厚くて、長くて重くて、なんて本は、本屋に行けばいくらでも手に入る訳ですが、
この短編集におさめられている短編達はひとつひとつがすっごく力のある作品ばかり。
質量的な重さ(分量)は少しなのに何なんでしょうこの気持ちにくる重さは。
こう胸の所をぐっと押さえつけられてる感覚がそれぞれにそれぞれの重さであります。

私は納屋を焼くが好きです。
この作品に出逢ってはや、、、、うんねん。
読み返したり、思い出したりするたびに感じる、過去に納屋を焼いた経験がある気がする、、、、のは何なんでしょう。

この不思議さぜひ味わって下さい。