弥勒世(みるくゆー) 上
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商品の詳細
- Amazon.co.jp ランキング: #38235 / 本
- 発売日: 2008-02-21
- 版型: 単行本
- 609 ページ
エディターレビュー
内容紹介
返還前夜の沖縄の現実を抉り出す暗黒小説
コザで英字新聞の記者を務める伊波尚友はCIA局員から反戦活動に関するスパイ活動を迫られ承諾。
激化するベトナム戦線をめぐる黒人と白人の対立、地元住民の不満が燻る中、反米活動を続けながら情報を集めていく。
内容(「BOOK」データベースより)
沖縄の憎悪は熱波の底に沈殿し、くすぶった炎を煽り続けていた。現代史の暗部を抉り出した馳ワールドの新境地。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
馳 星周
1965年北海道生まれ。横浜市立大学卒業後、出版社勤務を経て文芸評論家として活動。96年、デビュー作の『不夜城』が吉川英治文学新人賞を受賞。97年には『鎮魂歌 不夜城2』が日本推理作家協会賞、99年『漂流街』が大藪春彦賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
カスタマーレビュー
沖縄好き必読の書!!
沖縄がまだ琉球だった、アメリカ統治時代の最後の最後を、現実に即して描かれたフィクションだけどノンフィクションに近い歴史小説でもあります。当時の沖縄の様子がはっきりと脳裏に浮かんできて、あっという間に引き込まれてしまう、馳ワールドの神髄と言ってもいい小説です。この本を買ってすぐ、沖縄の友人のおばあちゃんにこの時代の事を聞いたら、まさにこの小説そのままでした。クライマックスシーンは、多少脚色されていますが、「コザ騒動」として実際にあった話です。カバーの金網模様もかっこいいですね。まさに、アメリカ軍基地の金網で分断された現代の沖縄を象徴しています。
600ページにも及ぶハードな前編だが、読み応えあり。
上下2巻に及ぶ長編小説を読む時、些か二の足を踏んでしまう。それは、ごく少数の幸福な出会いを除いて、やはり読了するまでの長い道行が頭をよぎるのと、仮につまらなかった際、既に後編を購入する為費やしてしまった金銭、あるいは、購入せずとも物語の結末を知る事なく小説に関わってしまった労力の無為について考えてしまうからだ。で、今作はどうか。馳星周の作品は、「不夜城」を始め、かって面白く読んだが最近の作品には今一歩乗れず。600ページを超える長編と言う事もあり、取りあえず、前編のみを購入してみた。
奄美大島から一旗揚げようと琉球の地に渡った男、大和(日本)からも沖縄からも差別され、望みはアメリカの市民権のみと言い放ち、どんな汚い仕事でもする。やまとーんちゅ、アメリカー、うちなーんちゅに対する憎悪を持ち、搾取される側からする側に立つとの確信的な思いを持つ主人公。ベトナム戦争、米軍基地、反戦運動、本土復帰、利権と革命、リベラルな本国左翼勢力の権威主義、コンプレックス、憤怒、鬱屈感、様々な思惑が絡み合い、騒乱を誘発する様なねっとりとした熱波、暴力的で猥雑なムードが充満する濃厚でピカレスクな1冊。
60年代末の「沖縄」を照射した社会的な意味合いも感じるが、革新勢力の欺瞞を哂い、決して情動に流されない主人公の心の奥底にあるニヒリズムに煽られる。
筆者の「沖縄」への思いと、露悪的な主人公の生きザマを確認すべく、後編の購入を決めた。
強い作品と思います
まず何よりも「強さ」を強く感じさせられる作品です。
理由は、主要な登場人物ばかりではなく、脇役の脇役とも思われる登場人物までもが、客観的に見れば、過剰な意志を、主体的に見れば、己を乗り越え、己に先んずる意志を持っている為です。従って本作品は、ほとんど実存主義的小説ともいえます。
そしてこのような「強さ」は、登場人物のみならず作家の姿勢にも強く感じられます。というのは、物語の展開上何ケ所かとても情緒的に美しい場面があります。いってみればここぞ泣かせどころという場面です。しかし筆致はあくまでも過剰なほど抑制的です。むしろ泣かせない、という強い意志を感じる程です。作家の矜持です。
このような世界には当然のことながら調和はありません。一瞬漆黒の雲の彼方に一条の光が輝こうとしますが、たちまち過剰な意志の衝突によるハレーションがこれにとって代わります。そして酷使された肉体は滅びます。
しかし、勇気というようなものが後に残されているようにも思えます。
本作品を読了し、重い感動を得ることができました。





